2019年2月24日 (日)

なぜ「つい」やってしまうのか/デイビッド・ルイス

Photo 多種多様な面をもつわれわれの行動を理解するためには、衝動について理解することが欠かせない。というのも、われわれの行動の大部分は衝動で成り立っているからである。

衝動的というと多くの場合、悪い意味で受け止められる。

衝動買いとかも悪い意味でつかわれる。

しかし、衝動は必ずしも悪いことではない。

1990年、当時オースティンのテキサス大学にいたスコット・J・ディックマンは、2つの異なるタイプの衝動性を区別し、それぞれを「逆機能的」「機能的」と呼んだ。

逆機能的衝動とは、愚かで向こう見ずで自滅的だと一般に見なされるような衝動のこと。

周りから批判を受けるなど、常に思わしくない結果を招き、場合によっては命を落とすことにもなりかねない。

これとは対照的に、機能的衝動は、思い切りよく大胆で度胸があると評価されることが多い。

周りからは称賛を受け、結果は好ましく、有益な場合がほとんどだ。

思考には二種類ある。

「システムI(Iはimpulsive:衝動的な)」思考と「システムR(Rはreflection:熟考)」思考である。

衝動はシステムI思考である。

システムI思考は裏で何が起きているのか私たちがまったく気づかないまま、素早くかつ自動的に働く。

これと対比されるのがシステムR思考である。

これは、より時間をかけ、かつより秩序だてた意識的判断であり、難解で慣れない問題にチャレンジする際や、通常の範疇を超えた意思決定を下す際に用いられる。

要約すれば、システムI思考は、日常の行動の大部分をコントロールしている。

どうしてそんな風に話したのか、なぜそんな行動をとったのか、と問われたときにだけ、われわれはシステムR思考を作動させる。

自らのふるまいについて気のきいた説明を、あるいは、少なくとももっともらしい説明を考え出そうとする。

つまり、システムR思考は後付けなのである。

衝動は必ずしも悪いものではない。

私たちは、システムI思考で、どのような新しい状況にも瞬時に判断を下せるようになる。

たいていの場合、初めて出会ってから数千分の1秒という間に、われわれは相手が好きになれる人間か、興味が持てない人間か、それともそばにいて居心地が悪い人間なのかを感じ取る。

何れにしても、私たちは何によって動かされているのかはしっかりと理解しておく必要があるのではないだろうか。

2019年2月23日 (土)

人事こそ最強の経営戦略/南和気

Photo 「サービス」の時代において、重要になってくるのが「人」です。サービスを生み出し、サービスの価値の源泉となるのは、「人」だからです。

経営資源は「人」「物」「金」「情報」と言われている。

中でも今、企業価値における「人」の価値の重要性が高まっている。

特に労働人口が減少局面にある日本においては、今後は「人」の時代になっていくことは間違いなさそうだ。

では、「人」の価値とはどういうものか。

例えば「金」の価値は、相場によって変動するものなので、コントロールできない。

「物」の価値は、最初の取得原価が一番高く、その後は減価償却により目減りしていく。

「情報」はどうかといえば、今の時代はインターネットにより瞬時に広がってしまうため、こちらもあっという間に陳腐化していく。

しかし、「人」の価値は、その他の経営資源とは大きく異なる特徴がある。

それは唯一、「意図的に高めることができる」ということである。

「人」の価値は、適切なタイミングで、適切な人から、適切な方法で影響を与えることで高めていくことが可能だ。

ただ、逆に一つやり方を間違えれば、簡単にやる気を失い、成果が出ないということもある。

つまり、優秀だからといって常に成果が上がるわけではないですし、全員が全員スーパースターではなくても成果がしっかり出るということもある。

今後、AI やロボットがどんどん進化してくるとともに、益々人の価値の重要性が高まってくるのではないだろうか。

2019年2月22日 (金)

やる気を引き出すモノの言い方48/播摩早苗

48 上司にとっては「給料をもらってるんだから甘えるなよ」と部下に言いたい場面はよくあります。しかし部下は、上司から正論を吐かれると「理屈は納得できても、言うことをききたくない」と抵抗感をもつことがあります。

人は理屈では動かない、感情で動く。

だから、上司から正論を言われても、反発して動かない。

例えば、上司は部下によく「給料分は働け」とか「給料の3倍分は稼げ」ということを言う。

場合によっては「給料ドロボーが」と言ってしまうこともある。

しかし、こんな言い方をされて、反省し、気持ちを入れ替えて一生懸命働くかというと、おそらく逆だろう。

反発して、あるいは、気持ちが落ち込んで、かえってモチベーションは下がってしまう。

これでは意味がない。

部下個々に合わせてモチベーションを上げさせるのが、有能な上司というもの。

このような場合、叱咤や説教でやる気を冷え込ませるよりも、「行動のための具体的プラン」を率直に質問したほうがいい。

そして、部下に行動を促すときは、すぐにとりかかれる小さな一歩や準備を聞いてあげると背中の一押しになる。

部下が、優先順位の高い仕事に着手していないときは、作業のどれかに気を重くするものがある可能性がある。

そんなときは、部下本人が障害に気づくような質問をする。

そして現在は「会社よりも自分のために」と考えたほうががんばれる層が増えている。

なので、達成目標の先にある「部下自身の目的」に気づかせると、部下は自らモチベーションを上げる。

上司に必要なのは的確な質問をすることを通して部下の気づきを促し、行動に移らせることだ。

このようなスキルをコーチングという。

コーチングはもはや部下を持つ上司の必須スキルといってよいのではないだろうか。

2019年2月21日 (木)

脳を鍛えるには運動しかない!/ジョン・J・レイティ、エリック・ヘイガーマン

Photo_2 正確に言えば、運動は脳のなかの神経伝達物質と、そのほかの神経化学物質のバランスを保っているのだ。そしてこれから見ていくように、脳内のバランスを保てば人生を変えることができる。

運動をすると、セロトニンやノルアドレナリンやドーパミンという思考や感情にかかわる重要な神経伝達物質 が増えることはよく知られている。

セロトニンは脳の機能を正常に保つはたらきをしているので、よく脳の警察官と呼ばれる。

セロトニンは、気分、衝動性、怒り、攻撃性に影響する。

ノルアドレナリンは、気分について理解するために研究された最初の神経伝達物質で、注意や知覚、意欲、覚醒に影響する信号をしばしば増強させる。

ドーパミンは学習、報酬、注意力、運動に関係する神経伝達物質と見られている。

ドーパミンは気持ちを前向きにし、幸福感を高め、注意システムを活性化させる。

習慣的に運動するようになると、脳のドーパミン貯蔵量が増えるだけでなく、ドーパミン受容体を作る酵素が生成され、脳の「報酬中枢」にある受容体そのものが多くなる。

実際のところ脳は筋肉と同じで、使えば育つし、使わなければ萎縮してしまう。

脳の神経細胞は、枝先の「葉」を通じて互いに結びついている。

運動をすると、これらの枝が生長し、新しい芽がたくさん出てきて、脳の機能がその根元から強化される。

運動が三つのレベルで学習を助けている。

まず、気持ちがよくなり、頭がすっきりし、注意力が高まり、やる気が出てくる。

つぎに、新しい情報を記録する細胞レベルでの基盤としてニューロンどうしの結びつきを準備し、促進する。

そして三つ目に、海馬の幹細胞から新しいニューロンが成長するのを促す。

私自身、この本をエアロバイクをこぎながら読んでいるので、運動が脳の活性化に有効であることは経験的に知っている。

でも、最新科学でちゃんと証明されているというのは新たな発見である。

2019年2月20日 (水)

世界を動かす巨人たち<経済人編>/池上彰

Photo「私は取引そのものに魅力を感じる」「私にとっては取引が芸術だ。私は取引をするのが好きだ。それも大きければ大きいほどいい。私はこれにスリルと喜びを感じる」
『トランプ自伝』

世界を動かす巨人たちの経済人編にトランプが挙げられているのは興味深い。

トランプはビジネスマンだった時に自伝を書いている。

そして、そこで語られたことを大統領になった今でも、そのまま実行している。

例えば、「トランプ自伝」ではこんなことを言っている。

「マスコミについて私が学んだのは、彼らはいつも記事に飢えており、センセーショナルな話ほど受けるということだ。これはマスコミの性格上しかたのないことで、そのことについてとやかく言うつもりはない。要するに人と違ったり、少々出しゃばったり、大胆なことや物議をかもすようなことをすれば、マスコミがとりあげてくれるということだ。」

またこうも言っている。

「私はマスコミの寵児というわけではない。いいことも書かれるし、悪いことも書かれる。だがビジネスという見地からすると、マスコミに書かれるということにはマイナス面よりプラス面のほうがずっと多い。理由は簡単だ。ニューヨーク・タイムズ紙の一面を借りきってプロジェクトの宣伝をすれば、4万ドルはかかる。そのうえ、世間は宣伝というものを割り引いて考える傾向がある。だがニューヨーク・タイムズが私の取引について多少とも好意的な記事を一段でも書いてくれれば、一銭も払わずに4万ドル分よりはるかに大きな宣伝効果をあげることができる」

これらは大統領となった今、実際にやっていることだ。

かつて、映画俳優出身のレーガン大統領は「大統領を演じた男」と言われた。

同様にトランプは、「ビジネスマンが大統領を演じている」と言ってよいのかもしれない。

2019年2月19日 (火)

奇跡のメモ術/池田義博

Photo 歴史をひもといてみればレオナルド・ダ・ヴィンチやエジソン、アインシュタインなど時代を変えるような発明、発見をしてきた賢人たちは例外なくメモ魔です。もちろん手書きです。現代の最先端のエンジニアでさえ、アイデアの最初のきっかけは紙のはしやホワイトボードに書きつけた手書きのメモということが結構多いのではないでしょうか。

メモと記憶術について書かれている本である。

著者はこれによって記憶力日本一を5度獲ったという。

ポイントはメモは必ず手書きでということと、メモは書きっぱなしにするのでなく、活用するということ。

手書きというのには大きな意味がある。

例えば記憶であればそれが行われている場所は脳である。

とするならば覚えるときに脳が受ける刺激が強ければ強いほど、より記憶できるということ。

脳のなかで特に、知覚、思考、推理、記憶、自分の意思による運動などに関係している場所は「大脳」。

そして、その大脳は身体の各部分と神経でつながっている。

さらにその大脳のなかで「手と指」に対応する領域は全体の3分の1にもなる。

つまり、手書きメモというのは大脳を刺激するという点で効果的ということ。

次に、メモは必ず活用すること。

脳は文字で書かれた知識の情報の記憶「意味記憶」よりも、自分が体験、経験した記憶「エピソード記憶」の方が断然強く記憶に残る。

エピソード記憶にするためには、メモを様々な形で活用すること。

メモによって得られた情報に対し積極的にアプローチしないと覚えたり活かしたりすることはできない。

このようなことを実行することによって、脳はどんどん活性化されていくという。

やってみる価値はありそうだ。

2019年2月18日 (月)

リバース・イノベーション/ビジャイ・ゴビンダラジャン、クリス・トリンブル

Photo リバース・イノベーションとは、簡単に言うと、途上国で最初に採用されたイノベーションのことだ。こうしたイノベーションは意外にも、重力に逆らって川上へと逆流していくことがある。

リバース・イノベーションとは、新興国で生まれた技術革新や、新興国市場向けに開発した製品、経営のアイデアなどを先進国に導入して世界に普及させるという概念。

先進国の技術や商品を新興国へ移転するという従来手法とは逆に、新興国から先進国へ逆流reverseさせるので、リバース・イノベーションとよばれる。

典型例はアメリカのGEヘルスケア社がインド市場向けに開発した800ドルという格安の心電計である。

インド市場にあうように価格を抑えるため、大幅に設計を簡素化し持ち運びできるように小型軽量化したことが奏功し、3000ドルする従来の大型装置に手の届かなかったヨーロッパ諸国の開業医らに受け入れられ、全世界に普及した。

このほか、小型のドラム式洗濯機、耐用期間の長いトラクター、ガスで動く小型発電機など、中国、インド、中南米市場などで開発された製品・技術が先進国で広く受け入れられる例が増えている。

リバース・イノベーションは発明からではなく、忘れることから始まる。

学んだこと、見てきたこと、最大の成功をもたらしたことを捨て去り、富裕国でうまくいった支配的論理を手放さなくてはならない。

リバース・イノベーションの機会を考えるうえで出発点となるのが、富裕国と途上国の間にある5つのニーズのギャップ、すなわち、性能、インフラ、持続可能性、規制、そして好みのギャップである。

例えば、途上国の人々はむしろ、超割安なのにそこそこ良い性能を持つ画期的な新技術を待ち望んでいる。

つまり、わずか15%の価格で、50%のソリューションを望んでいるのである。

これを実現するほど大きな設計変更は、既存品からスタートしたのでは不可能である。

まったく新しい価格性能曲線に行きつく唯一の方法は、一から始めることだ。

新しいソリューションを一から開発することなくして、途上国で成長機会を十分に捉えることは不可能である。

リバース・イノベーションは白紙の状態から始めるイノベーションである。

そして、性能、インフラ、持続可能性、規制、好みという5つの大きなギャップは、新興国市場のニーズと、富裕国の慣れ親しんだニーズとを分けるものである。

富裕国の取り残された市場に進出することにより、あるいは、富裕国と途上国のニーズのギャップがなくなっていくまでの時間差を用いて主流市場まで到達することにより、リバース・イノベーションは川上へ向かって逆流する。

しかし、日本人だけにしか通用しない平等主義や治外法権的な人事制度は、有能な国際的人材を引き付ける足かせになる。

イノベーションは、同質的集団からは出にくい。

異質の組み合わせから発生する化学反応である。

本書は私たち日本人に、「変革なくして発展なし」からさらに踏み込んで、「変革なくして生存なし」という考え方に転換すべきときが来たことを訴えている。

2019年2月17日 (日)

心理トリック/多湖輝

Photo アメリカの心理学者H・H・ケリー博士は、レンガに美術模様をつける仕事をしている人たちを対象に、つぎのような調査をしたことがある。
 被験者の99人は、全員まったく同じ仕事をしていたが、一部の者には「キミの仕事はとくに重要で、上等なものだ。」と言い、残りの者には、他のメンバーの仕事のほうが、自分のよりずっと質が高いという印象を与えておく。
 すると、自分は低級な仕事をしているという印象を与えられた工員は、約3倍も多い不満を表わし、しかも、仕事とは関係ない話題をいつも口にしていた。これは明らかに、不安を感じさせる仕事の話題を避けるためで、作業能率も目だって落ちていたのである。

上記の実験は仕事に対する意識の持ち方の違いによって、仕事の満足度や効率が違ってくるということを示している。

仕事には面白い仕事もあれば、面白くない、つらい仕事もある。

できれば面白い仕事をしたいものだが、誰もが面白い仕事にありつけるわけではない。

普通に考えれば、本当に面白いといえる仕事に就いている人は一部で、多くの人は面白くない仕事をやっている。

では、その人たちは、みんな不満たらたらで、すぐにやめてしまうのか。

確かにそのような人もいるが、多くはその一見面白くない仕事を続けている。

生活のため、家族のため、食べていくため、といった理由もあろうが恐らくそれだけではない。

仕事に対する意識の持ち方が違うというのも理由の一つであろう。

どんな仕事でも、それが価値ある仕事と考え、目的意識をもってやればやりがいが持てるもの。

そう考えれば、どんな仕事でも意義ある面白い仕事に変えることができるといえるのではないだろか。

2019年2月16日 (土)

話し方で 損する人 得する人/五百田達成

Photo プライベートでは、空気を読んだり、共感したり、いわば「あいまいに」話すことも有効でした。一方、 仕事ではあいまいなコミュニケーションは損をします。きちんとはっきりと、具体的に話すこと。これが得する話し方です。

プライベート上の会話と仕事上の会話を使い分けること。

これは意外とやっていないかもしれない。

例えば、家族の会話、友人との会話、

大部分はどうでもいい会話である。

別に問題を明確にする必要はない。

結論を出す必要もない。

こんな時はあいまいに話すことが必要。

人はそれぞれ違うのだから、相手に合わせることで十分。

しかし、仕事上ではそうはいかない。

仕事上の指示、命令は明確でなければならない。

あいまいさはトラブルを誘発する。

やる、やらない、イエス、ノー、すべてを明確にしなければ仕事は進んでいかない。

何か問題があれば、その原因を究明し、具体的な対策を立て、実行する必要がある。

ただし、仕事上であっても相手に共感したり、空気を読むことは必要。

要は、その場その場にあったコミュニケーションのスタイルを取れるかどうかが、重要ということであろう。

いずれにしても私たちは言葉によってコミュニケーションをとる。

言葉を発するのは一瞬である。

しかし、同じ数秒でも「どう話すか」によって人生は天国にも地獄にもなる。

その意味で、言葉を制するものは人生を制するといってもよいのではないだろうか。

2019年2月15日 (金)

おカネの教室/高井浩章

Photo「公園をたとえに説明します。自分が来る前より公園を綺麗にする人、つまり生まれる前より世の中を豊かにする人が『かせぐ』です。わざと公園を汚す、富を横取りするのが『ぬすむ』です。では『もらう』は何か。一番簡単なのは、『かせぐ』でも『ぬすむ』でもない人は、『もらう』に入るという分類です。『かせぐ』ほどは富を生まない人。警察官や消防士といったお金もうけには直接つながらないけど大事な仕事をする人。障害者のように社会が支えるべき人。こうしたさまざまな人が入る大きなグループが『もらう』です」

お金のことを物語形式でわかりやすく書かれた本である。

「かせぐ」「もらう」「ぬすむ」「かりる」「ふやす」「つくる」

お金を手に入れるにはこの6つの方法がある、と。

クラスのテストの平均点に例えるのは解りやすかった。

クラスの平均点を大きく引き上げるのが「かせぐ」人、

クラスの平均点を大きく下げるのが「ぬすむ」人と考えてみると、

平均点付近を取る「もらう」人が世の中大多数だと気付く。

銀行の役割や、あのリーマンショックの全貌、最近流行りの仮想通貨まで、書かれている。

印象深かったのは、『ATMを最後に、銀行の発明したものは人類に貢献していない』との言葉、

確かにその通りかもしれない。

«日本史で学ぶ経済学/横山和輝