50代からの選択/大前研一
日本でも同一職種内の収入格差は大きく拡大してきている。たとえばプログラマーという職業は、単にプログラムを書くだけなら、徹夜を繰り返して納期に間に合わせるような重労働であっても、年収300万円程度の仕事とみなされる。中国やインドのプログラマーにいくらでもまかせることができる作業なので、競争環境は厳しく、がんばっても年収の上昇は期待薄だ。
ところが、顧客企業と話をし、業務内容を理解した上で、コンピューターのアーキテクチャーを考えるプログラマーであれば、一気に年収3000万円となる。こういう仕事は、他国のプログラマーにまかせることは難しく、優秀な人材は常に不足しているという状態だ。年収数千万円プラス報奨金付きででもできるヤツを獲得したい、これが経営者の本音だろう。(P178)
同じ職種であっても、付加価値をつけることによって年収ベースで10倍以上の開きが出てくる。
今の世の中、個人のキャリア開発や様々な資格への関心が高まっているが、目指す資格を獲得すればバラ色の未来が開けると考える人が多いような気がする。
資格を取ることが悪いわけではないが、問題は資格にどのような付加価値を付けるかということであろう。
経営者がどんなにお金を払ってでも獲得したいと考えるのは、どのような人材なのか?
この視点が大切だ。
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