「心理戦」で絶対に負けない本/伊東明、内藤誼人
ロスとサミュエルスという心理学者の二人組は、どうすれば人々の競争心をかき立てることができるのか、という問題に真っ正面から取り組んだ。といっても、彼らは意外と簡単な方法で、人々を競争的にできることがわかってしまったのだ。それは、
競争心をあおり立てるには、「言葉を変える」だけでいい
ということだったのである。
つまり、二人で勝負するゲームをやらせるときに、同じゲームであるにもかかわらず、一方の人たちには「これは、ウォール・ストリート・ゲームといいます」と紹介し、もう一方の人たちには「このゲームは、コミュニティ・ゲームという名前です」と告げてみたのである。すると驚いたことに、ウォール・ストリート(世界経済の中心地)という名前を聞いた人たちの3分の2ほどが、いきなり競争的になり、大胆な勝負に出るようになったのである。一方、コミュニティという名前を聞いた人たちのほとんどは、協力的に、安全な戦略しかとらなくなったのだ。(P44)
言葉の人間の心理に与える影響というものを軽くみてはいけないということであろう。
ひとつの言葉には、その言葉の持つ直接的な意味以外に、感情、世界観、価値観等、様々な要素が含まれている。
そして、意識しようとしまいと、その言葉を聞いた人に影響を与える。
その意味では、特に人に影響を与える立場にある人は、もっと言葉を慎重に選び使うべきだろう。
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