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2010年5月 5日 (水)

「失敗をゼロにする」のウソ/飯野謙次

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バブル崩壊前の日本では、他国では類を見ない独特の社会システムとして終身雇用制が君臨していた。この終身雇用制とそれに伴う人々の強い忠誠心により、「○○のことは××に聞け」とか、「△△に任せれば大丈夫」と言った、人中心の知の集積が成り立っていた。つまり、知は人と共になり、組織はその人を囲うことで知を保有していた。

ところが、不況が長期化し、それでも利益を上げなければならない組織のために、早期退職、出向、分社化、派遣会社の活用、下請け、孫請けへの作業分散など、さまざまな形で労働力の流動化が進んできた。その影響で人の組織に対する忠誠心は薄くなり、転職もずいぶん気軽にされるようになった。すなわち、人がどんどん動くようになってきたのだが、そのため、知を持つ人を囲い込むことで組織知を守ってきた日本の組織が、その知をどんどん失っているのが現状であろう。

一方、契約社会のアメリカでは、人はいつ動くかわからないという前提で組織が機能しているので、人の知は組織のものとして吸い上げて蓄積する仕組みをずいぶん前から運用している。(P193)

人間は失敗を起こすものである。

人間が行動する限り、この世の中から失敗がなくなるということは絶対にあり得ない。

「失敗をゼロにする」は幻想である。

創造、進歩には失敗はつきものであり、失敗は次の成功の元だ。

問題は、その失敗を次につなげてゆけるかどうかということ。

失敗の原因を突き止め、それを阻止するための仕組みを作り上げること。

そしてそれを組織の知としていくこと。これが大事だ。

近年、日本の企業が急速に競争力を失っている原因のひとつに、個々の社員が持っている暗黙知を個人にとどめ、組織の知として形式知にし共有してこなかったことにあるような気がする。

人の知識を組織の財産として吸い上げる仕組みづくり、これに取り組む必要がある。

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