« 「失敗をゼロにする」のウソ/飯野謙次 | トップページ | 3年で辞めた若者はどこへ行ったのか/城繁幸 »

2010年5月 6日 (木)

人の心はどこまでわかるか/河合隼雄

Img100

現代の労働、働くこととは何を意味するかということですが、これをひとことで言うのがむずかしいのは、日本人は、宗教性とか倫理性に関して、いろいろな要素が重なった生き方をしているからです。その意味では、日本人は世界的にも不思議な民族と言えます。

キリスト教やイスラム教の文化圏では、一神教の世界ですから、倫理性も含む行動パターンが非常にはっきりしています。そこでは、働くこと、聖なること、あるいは遊びなどが明確に区別されます。だから、彼らは仕事が終わればすぐに帰ってしまうし、夏に1カ月くらい平気で仕事を休んでしまいます。

ところが、日本人はそういうのをすべて込みでやっている。仕事が好きな人は、それが遊びにもなっています。こういう人が1カ月も夏休みをとっていたら、それこそ逆にノイローゼになってしまいます。職場の仲間と一緒に食事をしたり、お酒を飲んだりしているほうが、家庭で奥さんや子供と話しているよりよほど楽しいという人も少なくありません。(P142)

日本人は仕事と遊びを明確に区別できない。

仕事が好きな人は、仕事そのものが遊びにもなっている。

このような日本人独特の職業観を抜きにして、日本人の働き方を論じることはできない。

近年、ワークライフバランスということばがずいぶん広まっているが、言葉が浸透してきた割りには実際に実行できている企業がごく少数にとどまっているのも、その根底に日本人に職業観があるような気がする。

長時間労働や残業が中々なくならないのも、その根底に日本人の職業観があるような気がする。

日本人は確かに仕事の中に働きがいを見出し、それがひいては生きがいにつながっていくようなところがある。

またこのような日本人独特の職業観が、日本企業が海外に進出していったとき、ひとつの壁になっているようだ。

« 「失敗をゼロにする」のウソ/飯野謙次 | トップページ | 3年で辞めた若者はどこへ行ったのか/城繁幸 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 人の心はどこまでわかるか/河合隼雄:

« 「失敗をゼロにする」のウソ/飯野謙次 | トップページ | 3年で辞めた若者はどこへ行ったのか/城繁幸 »