交渉力/中嶋洋介
日本人の多くは、交渉を「勝ち負け」と理解している。このため、日本人は交渉において、過度に攻撃的になり、手段を選ばないほどの強硬な交渉姿勢をとろうとする。ところが、いったん、勝てる見込みがないとわかると、今度は過度に淡白な諦めの交渉姿勢となり、卑屈な位に譲歩してしまう。問題は”勝つ”意外の道は”降参”しかないと考える日本人の考え方にある。極端な強硬姿勢と淡白な諦めの姿勢、これが日本人の交渉の特徴といえるが、これは交渉についての誤った理解によるものである。
交渉は勝つか負けるかのサバイバルゲームではない。交渉は対立の解消と合意を目的とする社会行動である。交渉には要求と譲歩があり、理性的な大人の立ち居振る舞いが要求される。交渉は、譲歩することで自分の欲しいものを手に入れることができる確かな手段である。(P46)
日本人は交渉下手とよく言われる。
それは日常的にあまり交渉の場を体験しきていないことによるのではないだろうか。
外国にいくと、店でものを買うにしても、必ず値切りの交渉をするような国がある。
また、いろんな民族が混在している国では、お互いに自分の立場を主張しながら、合意できるところを探るという行為が自然に生まれてくる。
すると交渉というものが、ごく当たり前の行為となり、知らず知らずのうちに身についていく。
ところが、日本人は、日常的にそのような場面が少ない。
交流はあっても交渉はない。
談合という言葉はあるが、交渉という言葉は実質がともなっていない。
しかし、これからの時代、交渉下手のままで良いはずがない。
交渉はスキルである。
スキルであるならば、習得が可能なはずである。
この点を真剣に向き合っていく必要がありそうだ。
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