なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか?/岸本裕紀子
「半径1m以内」は、現代の若者を象徴する言葉だが、決して否定的に用いているわけではない。こぢんまり生きる、人とは比べない、身の丈に合った暮らしを求める。日本のよさを見直す。自分にとっての幸せの軸を打ち立てる・・・・・・。それこそが、競争社会という大変な状況の中で彼ら自身が身につけたサバイバル術かな、と感じている。
願わくば、彼らの控えめなメッセージがやがて、アメリカ流の競争社会を、日本の実情に即した ものに変えていってくれたら、と思う。(P189)
とかく「今の若い者ときたら」と、否定的に大人は捉えがちだが、
違った角度から見る必要もあるのでは、と著者は言う。
今や、この今どきの若者のつくりだした、若者の暮らしになくてはならないものが、ぐんぐん世界レベルにまで届こうとしている。
コンビニの充実度は、本国アメリカを遥かに超えてしまった。
アキバ文化は海外では大人気、
ラーメンやどんぶりなど庶民の食文化は海外に進出している。
世界は今や、日本の製造業やハイテク技術だけでなく、日本人の暮らし方、生活に密着した知恵やアイデアに注目している。
アメリカ型の、常に欲望の肥大化をはかり、もっと強く、もっと大きく、と頑張る人生。
それはどこまでいっても満足感は薄く、疲れるだけだ。
それをずっと見てきた日本の若者は、もっと静かで、疲れない、安定した生き方があるのではないか、と感じているのではないだろうか。
競争社会というと、どうしても「競争に勝つか負けるか」との二者択一で考えてしまいがちだ、
しかし、若者たちは「勝ち負けの土俵に乗らず、競争をやり過ごす」という第三の道を模索しているようにも感じる。
そして、そんな若者たちの生き方が、もしかしたら、アメリカ流の競争社会を日本に合うように軌道修正していくかもしいない。
今はその過渡期だと考えても良いのかもしれない。
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