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2010年9月 8日 (水)

「まずい!!」学 組織はこうしてウソをつく/樋口晴彦

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社長がどれほど高尚な理念を伝えようとしても、中間管理職が自らの知恵を踏まえてそれを理解し、自らの言葉に置き換えて部下に伝達していく過程で、内容が微妙に変化してしまうのである。

その具体例として、平成19年に電力各社で事故やトラブルの隠蔽事件が相次いで判明した問題について、某社のコンプライアンス担当者から次のような話を聞いている。

平成14年に同様の隠蔽事件が発覚した際、同社では強い危機感を抱き、「一から出直そう」とトップが大号令をかけ、コンプライアンス意識の向上を訴えた。しかし、この理念がヒエラルキーの階段を降りていく間に、事なかれ主義の一部の中間管理職によって、「『過去』はもう忘れて『今後』をしっかりやればよい」と翻訳されて伝わった。その結果、未発覚の不祥事にはそのまま蓋がされ、一気に膿を出しきることができずに終わったため、5年後に再び糾弾を受ける事態を迎えたというのである。(P173)

言葉は人から人へと伝わる過程で、必ず変化すると思っていた方がよい。

人は言葉を自分の都合の良いように解釈し、受け止める。

つまり、言葉が人から人へと伝わるということは、必ずその過程で、人というフィルターを通っていく。

そして、人は必ずといって良いほど、自分に都合よく言葉を受け止める。

人の集まりである組織は、このことをよく考える必要がある。

特に経営のトップが自分の考えをを組織の末端まで浸透させようとする場合、このことを前提に、どうすればよいのかを考える必要がある。

経営者みずから、自分の言葉で全社員に語る場を設ける。

経営者の言葉を何らかの文書にして、何度も何度も社員の伝える。

クレドのようなものをつくり、浸透をはかる、等々。

世に優れていると言われている企業は、必ず何らかの形で、経営者が自らの考えを伝える努力と工夫をしているものだ。

逆に問題のある企業は、「俺はちゃんと言っただろう」と、伝えなかった人を責める。

そして、責任転嫁の連鎖が生まれ、風土は悪化し、結局何も変わらないということになる。

組織の中で言葉を正確に伝えるということは、それなりの覚悟と努力が必要だということを肝に命じておく必要がある。

その努力を惜しむトップに未来はないと思う。

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