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2010年10月12日 (火)

戦略の本質/野中郁次郎・他

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サダトのきわめて明確かつ非凡な戦争目的の確立について、時の米国国務長官ヘンリー・キッシンジャーは、自著『火を噴く中東』で次のように述懐している。

「要するにサダトの目標は、軍事的というより、はるかに心理的、外交的なものだった。サダトは、自分の国家安全保障顧問、ハフィズ・イスマイルと私の1973年初めの2回にわたる秘密会談から、アメリカが、アラブ・イスラエル紛争の外交解決に加わる用意があることを知っていた。しかし、彼は2つの結論を下したに違いない。第一は、イスラエルの占領地からの全面撤退というアラブ全体の要求は達成不可能であり、第二は、ただちに実現できる程度のことでは弱さの結果だとみなされてしまうので、エジプトとしても支持できないということだった。

そこでサダトは、占領地の奪還のためではなく、エジプトの自尊心を回復し、外交の柔軟性を増やすために戦争をしたのであった。開戦時において、戦争の政治目的をかくも明確に認識していた政治家はまれであった。ましても、戦いの後で、穏健路線を造り出すための戦争となれば、なおさらまれなことであった」(254)

第四次中東戦争の後、アラブとイスラエルは和平を結んだ。

その和平は、エジプトの自尊心を回復し、外交の柔軟性を増すものでなければならなかった。

当時大統領だったサダトは、そのような和平を結ぶがために戦争を決断した。

振り返ってみれば、非常に政治的な戦争であったということ。

戦争の目的といえば、「勝つこと」と思ってしまいがちだが、サダトはそのことを目的として戦争をはじめたのではなかった。

戦争や軍事のことについては、私はまったくの素人だが、このことを企業経営に置き換えて考えてみると、学ぶべき点が多い。

戦争を企業活動に置き換えてみたらどうだろう。

企業活動の目的はなんだろうか。

ただ単に儲けることだろうか。

それは戦争の目的は勝つことだと言ってしまうのと同じだ。

企業活動の真の目的は何か?

この本質的な問いに明確に答えることのできる経営者が、よい経営者なのではないだろうか。

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