なぜ日本人は劣化したか/香山りカ
実は、「自分だけ勝てれば」という新白由主義的な考え方に基づく排除型社会では、結果的に損失のほうが大きくなるのではないか、という仮説が最近、提唱されている。
そのひとつ、目産自動車で長らく人事に携わる舘岡康雄氏の「利他性の経済学」の帯には、こうある。「人も、企業も、国家も、もはや自己の利益を追求するだけで最大の利益をあげることはできない」。自己の利益のみの追求をヒューマニズムの観点から批判するのではなく、それじたいが最大利益には桔びっかないものであることを明らかにできれば、新自由主義の考え方にも矛盾することなく「他社への支援が必要」というアウトプットを導き出すことができる。(P166)
自己の利益のみを追求するのみでは、最大の利益を得ることはできない。
これはあらゆる場面で当てはまる。
自己の利益のみを追求する姿勢は、最終的にはその本人の首を締める。
わかりきったことなのだが、実際には自己の利益のみを求める人は後を断たない。
どうしてなのか?
一つの原因は、想像力の欠如ではないだろうか。
自己の利益を追求し続けることによって、周囲でどんなことがおこるのか?
そして、それが回りに回って、どのように自分に返って来るのか?
このような想像力を持つことができるならば、自己の利益を追求し続けることが、結局は自分の首を締めることになることに気づくはずだ。
「利他の精神」は、ヒューマニズムとしてではなく、損得計算という面から捉えても、極めて合理的考え方だとわかる。
そして、そのようなアプローチの方が納得感があるような気がする。
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