感動をつくれますか?/久石譲
作曲家として最もプライオリティを置いていることは何ですか?」と問われたら、僕は迷わず、「とにかく曲を書きつづけること」と答える。
ものをつくることを職業としていくには、一つや二ついいものができるだけではダメだ。生涯に一作であれば、誰でもいい曲がつくれる。小説だって書けるし、映画だって撮れる。必要最低限のスキルを身につけて本気で取り組めば、どんな人でも立派な作品を生み出すことができる。だが、仕事は“点”ではなく“線”だ。集中して物事を考え、創作する作業を、次へまた次へとコンスタントに続けられるかどうか。それができるから、作曲家です、小説家です、映画監督ですと名乗って生きていける。
優れたプロとは、継続して自分の表現をしていける人のことである。
さらにいえば、プロとして一流か二流かの差も、力量を維持継続していけるか否かにかかっている。
一流とは、ハイレベルの力を毎回発揮できることだ。(P20~21)
一流とは何か?
この問いに対して、久石氏は「ハイレベルの力を毎回発揮できること」と言っている。
これはそのまま、ビジネスパーソンに置き換えることができる。
成果主義が批判の的になる理由の一つも実は、「成果だけで人の価値が計れるのか」といったものから来る。
たとえば、営業マンが高い売上をあげたとする。
これにはいろんな要素が入り交じっている。
周りのサポートがあった、
環境が追い風だった、
前任者が既にもう少しで契約というところまでやっていて、それを引き継いだ、
たまたま運が良かっただけ、
等々、様々だ。
こんなあやふやなもので人を評価してもいいものだろうか?
そのような疑問が残る。
しかし、同時に、結局、仕事は結果で評価されるというのも一方の事実である。
これらをどう考えるかだ。
それ故に、高い業績を継続して上げ続ける人であれば、それは評価に値する。
好業績を上げ続けるには、やはり運だけでなく、実力が不可欠だからだ。
つまり「仕事は“点”ではなく“線”だ」という言葉に集約されるように感じる。
« ニッポン・サバイバル/姜尚中 | トップページ | 「一人がこわい」の心理学/町沢静夫 »
コメント