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2010年12月 3日 (金)

姜尚中の政治学/姜尚中

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 もし、イラク戦争を、冷戦終結以降の湾岸戦争の顛末から見直し、さらにはベトナム戦争と比べることができれば、もっとも新しい戦争の動機とその経過、そして結末が予想できたはずです。歴史の時間を、今という一点だけに凍結させて判断すれば、第六感は単なる直感的な思い込みにすぎなくなります。しかし、歴史の時間の幅を広くし、そして過去との「類比」を行う「思考実験」を試みてみれば、眼前のシーン(この場合はイラク戦争の新しい局面)は、違った意味を帯びてくるのです。
 このような「思考実験」が可能となるためには、いわば「生もの」だけを扱うメディア的な情報だけでは限界があります。喩えは悪いかもしれませんが、「干物」の知識が必要なのです。「干物」であるから、確かに鮮度は落ちているし、メディア的にはほとんど価値はありません。しかも、それは、視覚偏重の世界とは別物です。
 だが、迂遠はあっても、そのような「干物」の知がなければ、じつは「生もの」情報のうち、どれが危険でどれがそうでないのか、その識別は不可能になってしまいます。しかも、「生もの」に当たれば、普通は食中毒を起こし、苦しみが全身に回るのに、アクチュアルな出来事の世界では、当たっていてもその感覚がなく、むしろ快適な場合だってありえるのです。(P167~168)

知識には「生もの」と「干物」の知識がある。

即効性という意味では、「生もの」に分がある。

「生もの」の中でも、もっとも影響のあるのがメディアの情報である。

しかし、現代はあまりにもメディアの情報に偏りすぎてしまっているのではないだろうか。

そして「生もの」だけで判断しようとしている。

そうすると、場合によっては「生もの」に当たってしまうことも有り得る。

歴史という「干物」を通して、目の前に起こっている現実を見る。

情報という「生もの」が氾濫している現代だからこそ、「干物」をしっかりと味わうことが必要になってきている。

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