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2011年1月28日 (金)

歴史の使い方/堺屋太一

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 戦国時代の武士は競争社会、戦いで勝てば領地が拡がり、手柄を立てれば石高は増え、家来も増やせた。戦国時代を生き抜いた大名家はみな「成長企業」である。
 競争社会の成長企業は大抵、過剰雇用と先行投資の実行者だ。多めに家来を抱えても、次の合戦で勝って領地を増やせば養える。大名がそれなら家来も同じことをする。高度成長時代の日本企業と同じで、成長志向の「行け行け」経営だった。
 ところが、豊臣秀吉の天下統一が達成されると、全体の石高はもう増えない。武士社会は完全なゼロサム社会になったのである。
 俄然、各大名家もその家老たちも、過剰雇用と過剰投資に苦しみだした。「何とかせねば」という苦悶から二つの案が出た。一つは外国貿易で稼ごうという経済路線、対馬出身の堺商人、小西隆佐・行長父子らがその代表格である。もう一つは外国で領地を増やそうという軍事侵略路線、加藤清正らはこの主張者だった。
 秀吉はどちらも採用した。石田三成らの側近の官僚たちは小西の経済路線を支持したが、それでは商才の乏しい武辺者たちは承知しない。だから「両論併記」のような決定をした。
 歴史の教科書や歴史物語では、朝鮮出兵は、ただただ豊臣秀吉の野心と大ボラではじまったようにいわれているが、その内実は成長社会から安定社会への転換時点で生じた大惨事、一種のバブル弾け現象だったのである。(P170~171)

朝鮮出兵は、豊臣秀吉の野心からきたものというのが一般的な理解である。

しかし、その背景を見てみると、そこには高度成長時代から低成長、安定社会に変化したことに対する時代の見誤り、対応の失敗が見えてくる。

これは、今の日本にそのまま当てはまる。

高度成長期はとっくに終わり、バブルも弾け、失われた10年、20年と長期低迷が続いている日本。

しかし、今だに高度成長期の発想の残っている部分が随分あるように感じる。

大企業はどんどん海外へ進出し、規模の経済を追い求めている。

大企業の場合は、ある程度それはやむを得ない部分もある。

しかし、日本企業の99%以上を占める中小企業はどうなのであろう。

いつまでもその大企業の下請や、大企業追随で良いのだろうか。

もっと独自の道を開拓し、進むべきではないだろうか。

今の時代、特に中小企業にとっては、危機の時代であると同時にチャンスの時代でもある。

中小企業独自のビジネスモデルがどんどんでてきてもよさそうなものだが、どうだろう。

しっかりと見ていく必要がある。

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コメント

こんにちは。
堺屋太一さんの本の紹介。参考になりました。
どうもありがとうございました。(^.^)

みきさん、コメントありがとうございます。
参考にしていただいて、うれしく思います。

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