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2011年1月27日 (木)

歴史からの発想/堺屋太一

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 既成の概念をとらわれない「価値からの自由」。それを徹底した織田信長が、奇妙な自己流の考え方を実行し、多数の部下を納得させ得たのはなぜか。それはおそらく、既成概念に代わる明確な尺度を示し得たことであろう。つまり、信長の言動は、一見、非常に奇怪に見えても、決して気まぐれではないことが、家督を継いでから数年間に、多くの人々に理解され納得されたのである。
 信長が既成概念・・・伝統、慣習、既存の制度や体制、その時代の常識や通説など・・・に代えて打ち出した新しい尺度とは、「唯目的的評価」ということであった。
 日本史のなかで、織田信長ほど自己の目的を明確に示した政治家は珍しい。信長は、永禄10年、美濃稲葉山城を奪った段階で、早くも天下平定の大目的を明確にする。稲葉山を岐阜と改名したのも、「天下布武」の印を使い出したのもそれである。また、この段階で楽市楽座を行うことも、宗教的勢力の世俗権力化を排除することも明らかにした。
 織田信長は、こうした理想、つまり自己目的に実に忠実であり、すべてをこの目的に沿うかどうかによってのみ評価した。この目的を達成するために有利なものはためらうことなく取り入れ、目的に沿わないものはすべて排除したのである。(P07~108)

自由奔放で奇怪な行動が多いように見える織田信長、

しかし、そこには明確な目的があった。

そして目的に沿うかどうかによってすべてを評価し判断した。

そこには、終始一貫、しっかりと一本筋が通っている。

これだから、部下や側近もついていったのであろう。

もし信長が、なんの目的も示さずに、天才的なひらめきだけで、部下をひっぱっていこうとしたのであれば、決してうまくはいかなかったであろう。

自由奔放で無軌道に見えるようで、実はしっかりとした目的に沿った判断や行動が信長にあった。

このことは、リーダーにとって目的を示すということがいかに大事かを示している。

大きな目的を示さずに、細部にばかり口出しするリーダーに、人は決してついていかない。

リーダーの第一の務めは、明確なビジョンを示すということ。

これに尽きる。

そして、このことのできていないリーダーがあまりにも多いのもまた事実である。

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