イチローにみる「勝者の発想」/児玉光雄
イチローはこんなことを語っている。
「カウント1-3のとき、フォアボールでいいかって思う選手、結構いるんだけど、普通に打つ気もなく見逃してフォアボールを選ぶことと、打つ気で行って、それがボールになって結局フォアボールになるのとでは、僕にとって全く意味が違うんですよね。積極的か消極的か。同じフォアボールという結果でも、そこは僕にとって、全く違う」
イチローの心の中には、バットを振らなければ進化できないというこだわりがある。つまり四球で塁に出るのと、ヒットを打つのとではまったくプロセスが違うのだ。1-3になったとき、並のバッターは、「ボールになってくれ!!」と心の中でつぶやく。一方、イチローはピッチャーに向かって「最高のボールをストライクゾーンに投げてこい!!」と心の中で叫んでいる。
彼の意識は、いつも結果よりもプロセスを重視することに絞り込まれている。だから結果がどうであろうと自分の決めた型を絶対くずさない。(P51~52)
イチロー選手の特徴の一つに“プロセス重視”というものがある。
逆に言えば、よいプロセスを踏んでいれば結果は必ず後からついてくるという確信があるということであろう。
たとえば、「四球もヒットも塁に出るということではまったく同じ、しかしプロセスはまったく違う」という考え方。
このような考え方を持ってバッターボックスに入り、その考えを一つ一つ実行する。
この積み重ねが、自らを成長させ、そしてよい結果に繋がる。
元楽天イーグルスの野村監督も同じようなことを書いていたことを思い出す。
プロフェッショナルの「プロ」とは「プロセス」の「プロ」だと。
また、成長する企業の経営者もやはり、プロセス重視の考え方をする人が多い。
こう考えてみると、プロセスにこだわり続けるというのも一流の条件だといえるのではないだろうか。
人間誰しも結果がほしい、
しかし、だからこそ、プロセスに徹底的にこだわるべきである。