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2011年2月25日 (金)

平時の指揮官 有事の指揮官/佐々淳行

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 アルベラの戦いで宿敵ペルシアのダリウス大帝に大勝し、敗走するダリウスを追って、真夏の太陽の下、二日間に440マイルを踏破する強行軍の追撃戦を展開したときのこと。
 全軍焼けつくような喉の渇きに、もだえ苦しみながら行軍していた。そんなとき、一人のマケドニア兵がどこで見つけたのか、兜一ぱいの水をアレキサンダー大王に捧げた。
 思わず口をつけようとしたアレキサンダー大王がふと気がつくと、まわりの騎兵たちが首をのばし、羨ましそうにその兜の水をジッと見つめている。アレキサンダー大王は、突如その兜の水を大地に流し、「いざ、進もう、われらは疲れもせず、渇きもせぬぞ」と叫んだ。
 それを聞いた全将兵はどっと感激の声を挙げ、「かかる大王に率いられたわれらは不死身だ。天下に敵はないぞ」と叫んだという。(P146)

古今東西、歴史にその名をとどめる名将たちは、例外なく「感情移入」ができる精神的素質を備えている。

分かりやすく言えば、部下の立場に立って物事を考える「思いやり」を持つということだ。

部下に一体感、上下の強い連帯感を与えるためには、いろいろな方法があろうが、

いちばん基本的で簡単なことは「同じものを飲食すること」ではないだろうか。

上記のアレキサンダー大王のエピソードもそのことを物語っている。

合理的に考えれば、リーダーが何を食べ、何を食べようが、部下とは関係ないことである。

むしろ、リーダーがしっかりと飲食をして健康な状態でいて、正しい判断をしてもらった方が、全体にとってプラスであるとも言える。

ところが、人間は元来、合理的に物事を受け止め判断する動物ではない。

感情というフィルターを通して、物事を見、判断する。

そこで大事なことは、“感情移入”という問題だ。

リーダーは部下と同じものを食べて飲んでいることにより、部下に感情移入する。

それにより、部下もリーダーに対して感情移入できるようになる。

それが一体感を醸成し、強い組織が形成される。

リーダーはその意味では、人間の感情の機微に対して敏感でなければならないということであろう。

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