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2011年3月30日 (水)

わが上司 後藤田正晴/佐々淳行

A9r3382

 防衛問題が激論になると、後藤田官房長官は、このとっておきの殺し文句をいいだす。
「ワシが五十年間生き残ったのは、再び日本を軍国主義にしないためじゃ。学徒出陣でいくさに出た学友の三分の一が還らなかった。この死んだ仲間のためにも、ワシは再び軍国主義への引金を引いた官房長官とはいわれたくない。敵が攻めてきたら、ワシもやる。だが、平時は抑制じゃ。君らだけでなく戦争を知らない若い議員たちは威勢はいいが、これだけはハッキリ言うておく」
 これが出ると、私たちは黙らざるを得ず、激論は終る。それは後藤田哲学だからだ。(P286~287)

カミソリと異名をとった後藤田正晴、

元警察官僚であるだけに、治安警察の問題については積極的で「タカ派」だが、

対照的に、防衛問題については「ハト派」であった。

タカ派の面とハト派の面とが混在しているのも独特だが、

それが自らの体験に基づくものであることから迫力と説得力が生まれている。

タカ派の面は、連合赤軍あさま山荘事件や、よど号ハイジャック事件等で

警察庁長官として指揮を執った体験から、

ハト派の面は、自らの戦争体験から出てきている。

よく、人の語る言葉の重みについて考えさせられることがある。

同じ言葉を語っても、誰が語ったかによって、その影響力に違いが出てくる。

もちろん、「誰が語ったかより、何を語ったかの方が重要」というのは正論だが、

現実問題として、「誰が語ったか」が影響力を発揮する場面が多くあるのは事実である。

やはり人間は感情の動物なのだから、

それ故に、体験に裏打ちされた言葉を持つということは、

そして、それを自らの哲学にまで昇華させるということは、

人を動かす立場に立つリーダーにとって不可欠なことなのであろう。

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