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2011年3月13日 (日)

戦略「脳」を鍛える/御立尚資

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 1980年に、世界で初めてのチョモランマ登頂に向けて、総隊長となる西堀栄三郎氏が、登山隊員30名を募集したときのことだ。日本各地の日本山岳会の支部を通じて集まってきたのは、一流中の一流のクライマーばかりで、「これなら少数精鋭でやれる」と幹部連は大喜びだったそうだが、西堀氏は強く反対した。『創造力』(講談社)という本の中で、彼自身がその理由について、こう書いておられる。
「千両役者ばかりを集めたところで、いい舞台は打てないからである。一流ばかりだと天狗の鼻が邪魔になって、俺も俺もと、みんなが頂上に登りたがり、収拾がつかなくなってしまう。舞台には女形も要るし、黒子も、子供の役も要るのだ」。
 こうして、さまざまな役割に対して、それぞれ適した性格の人材を集めたチョモランマ隊は無事成功を収めた。このエピソードは、チームで何事かを達成するための要諦を示している話として、実に興味深い。(P177~178)

官僚組織や伝統的日本企業に往々にして見られるのが、

エリートコースという名の“金太郎飴人材育成装置”である。

同じ大学を出た、似たようなタイプの人材を採用し、

その中でも将来の幹部候補生となる人材は特定のコースをめぐって、昇進していく。

このような形で育成された人材は、金太郎飴のような状態になってしまう。

かつての日本は、これがむしろ強みであった。

すなわち、同質、同レベルの人材を多く育成することによって、競争力を保持していた。

高度成長期では、決まったものを大量に早くつくる仕組みがあれば、それによって企業は右肩上がりで成長することができた。

とにかく“作れば売れる”という時代ではそれでよかった。

ところが、今は、“作れば売れる”とは限らない、

今は、「何を」つくるかが問題になってきており、

それを「誰に」売るのか、「どのように」売るのか、

すべての部分において、独自性が求められるようになった。

こうなって来ると、金太郎飴人材ばかりの組織は弱い。

かつての強みが今は弱みになっている。

それが今、日本の多くの企業が陥っている状態だと思う。

今こそ、多様な人材を受け入れ、それによってシナジー効果を生み出していくようなマネジメントが求められている。

そして、そのような試みに成功した企業が生き残っていくのではないだろうか。

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