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2011年3月 5日 (土)

憎まれ役/野村克也・野中広務

A9rc26

「大リーグのように、これからのピッチャーは、絶対に分業制になる。おまえは、リリーフの分野で先駆者として、日本の野球に革命を起こしてみんか」
 当時のプロ野球には、“八時半の男”のようにリリーフ(救援投手)はありましたが、終盤の1、2回限定のストッパーは認知されていませんでした。このとき、江夏は「革命」という言葉に感激したそうで、翌シーズン(1977)には19セーブをあげてセーブ王に。のちに、ストッパーとして「優勝請負人」と呼ばれるようになり、1979年には広島で「江夏の二十一球」と語り種になっている球界屈指の名勝負を演じています。(P189)

野村監督のもと、他の球団で使い物にならなかった選手が再生することを称して、

“野村再生工場”という言葉まで生まれた。

ここでは、江夏の例をあげている。

当時、江夏は、肩痛と血行障害に苦しみ、阪神から南海にトレードされた。

一流の投手はみんなプライドが高いという。

江夏も例外でなく、非常にプライドの高い選手、

特に、先発投手ということについては、強いプライドを持っていた。

その江夏に“ストッパー”への転向を野村監督は勧めた。

江夏にとっては、先発投手としてのプライドを粉々に砕く内容。

野村監督の、選手を見る目や、プロ野球の未来を見る先見性も卓越したものがあるが、

特に、注目すべきことは、“人を動かす言葉”を持っているということ。

プライドの高い選手に対しては、そのプライドをくすぐるような言葉を使って説得する。

“おまえは、リリーフの分野で先駆者として、日本の野球に革命を起こしてみんか”

この言葉がプライドの高い江夏を動かした。

“殺し文句”という言葉があるが、

まさに、このときに語られた言葉は、江夏を動かす殺し文句となった。

その後、江夏はストッパーとして新しい役割を与えられ、息を吹き返した。

“一つの言葉が人の人生を変えた”といってもよいエピソードである。

リーダーは言葉を持たねばならない。

さまざまな場面で、人を動かす殺し文句を語れるかどうか、これができるかどうかだろう。

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