吉本興業 使った分だけ人とお金は大きくなる!/中邨秀雄
いろいろな人から、「金の卵」の見分け方の秘訣を教えてほしいと、よく相談されます。伸びる素質のある、なしをどこで判断するのか。はっきり申します。卵の時に見て、これはいける、これは駄目だというのは分からない。人は化けるのです。
実際、才能を見分けることができるか、実験してみたことがあります。
NSCを卒業したタレントを二○組集めて、五分くらいの得意の芸をやらせてみました。
それを現役のプロデューサーが見て、五年後に誰が芽を出すのか予測させてみたことがあります。それは見事に外れました。当時、間寛平がその中にいまして、正直面白くなくて、あれも駄目これも駄目で、メチャクチャに悪い評価でした。真っ先に辞めていくだろうというのが、全員の一致した意見。ところが、蓋を開けてみれば、分からないもので、完全に化けてしまったのです。(P132~133)
間寛平はメチャクチャ悪い評価だったということである。
しかし、その後売れっ子になってしまった。
人材の見極め、これほど難しいことはない。
そもそも、人材を見極めることなど、できるのだろうかと考えてしまう。
確かに、性格診断テストやスキルテスト等、さまざまな分析手法がこれまでも生み出されてきた。
それによって、ある程度、仕事に対する、向き、不向き、の傾向はつかむことはできる。
しかし、それとて、絶対とは言えない。
あるいは、人を見る目に絶対的な自信を持っている人もいる。
「この人は伸びる」「こいつは駄目」と断言する人がいる。
だが、これほど危険なことはない。
人は化けるのである、
あることがきっかけで、人は変わることがある。
だからこそ、面白いと言える。
人を育てる立場の人間に一番大切なことは、謙虚さではないだろうか。
自分の目を過信しないということではないだろうか。
自分の目を過信して、人が伸びるチャンスを奪ってはならない。
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