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2011年4月24日 (日)

絶対、映画を撮ってやる!~映画『Lily』 中島央監督自伝~/中島央

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 「頼むから二週間だけ待ってほしい。長編『Lily』をもう一度書き直したいんだ。絶対に二週間で最高の脚本を書き上げてみせる!」
 賽は投げられました。もう後戻りはできません。
 翌日から、運命の二週間がはじまりました。(中略)
 もう頭が完全にショートしています。頭の中は、刻一刻と迫ってくる約束の期限のことで一杯でした。もうだめだ!気が狂いそうになった僕は、半ば開き直ったようにレンタルショップで五本の映画を借りてきます。
 一本目。何もアイディアは出てきません。二本目。やはり何も浮かびません。胃を締めつけるような焦りだけが募ります。そして、三本目のビデオが僕の崇拝するベルナルド・ベルトルッチの監督デビュー作の『殺し』でした。その映画を観ながら心の中で「ベルトルッチの大ファンの僕が観ても、ちょっとこの映画はいただけないよな。これくらいだったら、まだ僕の方がうまいな」などと好き勝手なことをぼんやり考えていた次の瞬間、いきなりインスピレーションのスイッチが入りました。
 「そうだ!プレッシャーで物語が書けない脚本家の話だ!」

中島氏がハリウッドでやっと自分の脚本を認められ、映画を作るチャンスを与えられ、撮影に臨もうとした矢先、主演女優の降板騒動が起こり、撮影が頓挫しそうになる。

結局、脚本を書き直すことになるのだが、与えられた時間は二週間、

このようなプレッシャーの中で、彼は脚本を書き上げる。

このようにして作られた映画『Lily』は、カンヌ国際映画祭でも上映され、世界中の映画祭で脚光を浴びることになる。

“一皮むける体験”をすると人は大きく成長すると言う。

著者にとって、まさにこれが“一皮むける体験”であったのであろう。

よく“人は育てるものではなく、育つもの”だという。

ある責任ある場を与えられ、下手をすると潰れてしまいそうになるプレッシャーの中で、それを乗り越えたとき、人は大きく成長する。

ある企業の新人育成の合言葉は“梯子を外して、下から火をつけろ”というものだという、

もし本気で人を成長させたいと思うならば、それくらいのことをする必要があるということだろう。

ただ、その場合、一つのポイントがある。

それは、プレッシャーを乗り越えるパワーになるのは、「自分は絶対にこれをやりたい」「実現させたい」という強い思いだということ。

著者が、プレッシャーを乗り越えることができたのは、「絶対にハリウッドで成功してみせる」という強い思いがあったからだ、

今、企業でうつを患う社員が増えている。

それはプレッシャーを与えられるばかりで、一方の“強い思い”を持てずにいる社員が増えているということのあらわれではないだろうか。

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