« ハイコンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代/ダニエル・ピンク | トップページ | 新しい現実/P.F.ドラッカー »

2011年4月 6日 (水)

未来企業/P.F.ドラッカー

A9r7e08

 効果的なリーダーシップは、カリスマ性に依存するものではない。
ドワイト・アイゼンハワー、ジョージ・マーシャル、それにハリー・トルーマンは、稀なほど効果的なリーダーだった。しかし、彼らのいずれもが、死んだ鯖ほどのカリスマ性ももってはいなかった。第二次世界大戦後、西ドイツを再建したコンラッド・アデナウアー首相もしかりである。
 また、1860年、あのやせこけたあか抜けしない田舎者だったイリノイ出のエイブ・リンカーンほど、カリスマ性を感じさせない人物もいない。
 さらに、両大戦の間、苦しみ、打ちのめされ、ほとんど挫折していたチャーチルにも、驚くほどカリスマ性がなかった。しかし大切なことは、彼の正しさが、最終的に立証されたことにあった。
 まさに、カリスマ性は、リーダーを破滅させる。柔軟性を奪い、不滅性を盲信させ、変化不能にしてしまう。
 スターリンにも、ヒトラーにも、毛沢東にもこれが生じた。アレクサンダー大王が無能な敗者とならずに済んだのは、単に早世したからにすぎないことは、古代史の定説である。
 カリスマ性は、リーダーとしての有効性を保証するものではない。ジョン・F・ケネディは、これまでのホワイトハウスの住人の中で、最もカリスマ性のある人物だった。しかし、彼ほど何もできなかった大統領はいない(P146)

カリスマとはギリシャ語が語源で、神の賜物という意味がある。

ドラッカーはリーダーにはカリスマ性は必要ないという、

むしろ、カリスマ性は、リーダーを破滅させるとまで断言している。

その例として、スターリン、ヒットラー、毛沢東をあげている。

確かに、一人のカリスマ性を持ったリーダーによって、

国家や国民が誤った道を歩んだという事実は歴史が証明する。

そもそも、カリスマ性を持ったリーダーが出現するのは、

共通した背景があるように感じる。

つまり、政治や経済が混迷している時であり、

その反動として、強いリーダーシップを求める世論が形成されている時である。

このような時、強いメッセージを持つカリスマ性のあるリーダーが登場すると、

国民は一気にその方向へと動かされてしまう。

そう考えると、いまの日本がまさに、そのような土壌が形成されていると言えよう。

今回の大震災で政治や経済は混迷を究め、多くの人が、

この事態を打開する、強いリーダーシップを持ったリーダーを求めている。

もし、今の日本で、カリスマ性を持ったリーダーが登場すると、

国民は一気にそちらの方向へと動かされてしまうだろう。

特に、日本の世論は一方方向に偏りがちな傾向があるのでなおさらだ。

その意味で、ドラッカーの言った、

「効果的なリーダーシップは、カリスマ性に依存するものではない」

という言葉は、一つの警告として受け止めておく必要がある。

« ハイコンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代/ダニエル・ピンク | トップページ | 新しい現実/P.F.ドラッカー »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 未来企業/P.F.ドラッカー:

« ハイコンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代/ダニエル・ピンク | トップページ | 新しい現実/P.F.ドラッカー »