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2011年4月 4日 (月)

ヤメ検/森功

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 企業のコンブライアンス問題から実際の事件弁護にいたるまで、ヤメ検の顧問先は、大なり小なり何らかの問題を抱えている。さすがに検事総長経験者クラスになると、知名度の高い大企業や公的機関の顧問になり、コンプライアンス対策を担って悠々自適に弁護士生活を送る。が、他はそうはいかない。緒方のような高検検事長経験者の大物でも、曰くつきの企業や人物との交流を深め、道を踏み外すケースもある。
 「日本は、裏社会と表の政治・経済・行政が密接なつながりを持って発展してきた。いわゆるアウトローとエスタブリッシュメントが、水面下で混然一体となっているケースを何度も垣間見てきました。そのなかで、刑事事件が起き検察が立件する。そこでは国策捜査も実際にあるし、権力によって伏せられた真実もある。よく検事や弁護士の正義とは何か、と問われるが、分からなくなることがあるのです」
 自叙伝『反転』で、山口組若頭だった宅見勝や数々のバブル紳士との交流を描いた田中森一は、しばしばそう語った。(P297)

ヤメ検弁護士とは文字どおり、検事をやめた検察OBの弁護士の俗称である。

かって法の番人として権力や反社会勢力と真っ向から向き合い、治安をあずかってきた。

そこから一転、犯罪者の利益を代弁する弁護士となる。

同じ司法界の住人でありながら、その立場は正反対のように思える。

なかでも優秀なヤメ検弁護士は、政財界からアンダーグラウンドの世界まで、

その活動範囲は広い。

捜査の手の内を知り尽くした刑事弁護のプロ。

そこをウリにし、さまざまな刑事事件に顔を出す。

日本を揺るがす大事件には、たいていヤメ検の足跡があるともいえる。

村上ファンドやライブドア事件をはじめ、朝鮮総聯本部ビル詐取事件等々・・・、

昨今話題になった大事件では、必ず大物のヤメ検弁護士が被告人に寄り添い、

後ろ盾になっている。

そのような裏の世界をかいま見るにつけ、

多くの重大な決定が、マスコミの表面的な報道とは別の次元で進められ、決定しているのでは、

といった疑念を抱かざるを得なくなる。

たとえば、今問題になっている福島原発の問題、

今後、日本の原発の政策は再検討することを余儀なくされるであろう。

そんな国の方向性を決める局面でも、必ず動くのがアンダーグラウンドの世界である。

これだけ害悪をまき散らしておきながら、ヤメ検弁護士の需要がなくならないのも、

表の世界も裏の世界も知り尽くしている、利用価値の高い人材とみられているからであろう。

それは私たちの窺い知ることのできない世界、

日本という社会が、本質的な部分では中々変わらない原因の一つになっている。

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