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2011年4月30日 (土)

龍馬の魂を継ぐ男 岩崎弥太郎/山村竜也

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 いざ宿に着き、龍馬と初めて対面してみると、なかなか無愛想な男である。自分も顔は恐いほうだと思っていたが、龍馬も黙っている分には恐い顔つきだ。やむをえず、ふところから用意の五十両を出して、要求の金を持参したことを伝えた。
 すると、龍馬の表情は一変し、満面の笑みを浮かべてよろこんだのだった。その現金な態度の落差には、弥太郎もあきれるばかりだった。
 武士たるもの、金を手にしたとしても、これほどよろこびをあからさまにするだろうか。それに、そもそも遠慮することもなく金を要求するだろうか。どうやらこの男は普通の武士とは違うらしいと、早くも弥太郎は察知したようだった。
 龍馬の指示で、すぐに酒と肴が用意された。金を出してくれた弥太郎を歓待しようというのである。弥太郎は言われるがままに部屋に上がり、龍馬と酒を酌み交わした。
 二人は、誰がどうの、彼がどうのという人物論や、当時の時勢論に花を咲かせ、気づけばいつの間にか黄昏時になっていた。そのころには弥太郎が抱いていた龍馬に対するわだかまりも消え失せ、すっかり打ち解けた間柄になっていたのだった。
 この日以降、弥太郎と龍馬は長崎の地で交遊を深めることになる。弥太郎にとって、この日のことは、自分の人生を方向づける運命的な出会いであったかもしれなかった。(P109~111)

NHK大河ドラマ「龍馬伝」では、龍馬の幼なじみとして描かれる弥太郎だが、実際には彼らが出会うのはもっと後年のこと。

上記は、弥太郎と龍馬とのはじめての出会いの場面、

龍馬の再々に渡る強引な給金の請求に対し、弥太郎は自腹を切る形で50両を出すことにし、

みずから龍馬の宿に出向いて、金を届けることにした。

龍馬という男がいったいどういう人物なのか、この目で確かめようと思っていたのかもしれない。

このときの出会いは、弥太郎のその後の人生を方向付ける、強烈な印象を与えた。

土佐藩を脱藩し、ほとんどなんの権力も持たない龍馬が、どうしてあれほど影響力を持てたのか、理解に苦しむところがあるが、それほど、龍馬という男は、魅力的であったのだろう。

幕末の一時期、弥太郎と龍馬が交遊を深め、泣いたり笑ったりしながら、同じ時間を共有し、夢を語り合っていたことは事実なのである。

あの長崎の日々がなければ、維新後の弥太郎の人生は、もしかすると少し違ったものになっていたかもしれないと思うと感慨深い。

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