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2011年4月21日 (木)

なぜ、ホンダが勝ち ソニーは負けたのか/荻正道

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 ソニーは世界的企業だが、例外的にトップが生産現場を徘徊することの少ない企業である。
 黒木靖夫氏は、こう言っている。
 ソニーは物づくりが下手だ。最初の一個はうまい。しかし、物づくりとは、大量につくる技術なのだ。生産性の問題である。ソニーはこれがまったくダメだ。物を大量につくるノウハウなどは、サンヨーや松下のほうがはるかにうまい。(「大事なことはすべて盛田昭夫が教えてくれた」)
 元経営幹部がここまで言うのである。品質レベルの低さもよく問題にされるが、根本は製造現場に身内意識を持てない企業文化にある。
 井深大氏は、研究所を徘徊することが生きがいのような毎日であったが、徘徊の範囲は研究所に限定され、工場に及ぶことはなかった。先に述べたように厚木工場における「ソニーの原罪」は、トップの足が及ばないところで発生したものである。ソニーの企業文化は、製造業にもかかわらず工場から足を遠ざけがちなところにある。製造業ならどの企業でもモノは作れる。しかし、製造現場に経営の根幹を置かない企業に、モノを「作りこむ」ことはできない。(P225~226)

ソニーとホンダ、自由闊達、挑戦的、高い技術力等々、一見、同じような企業文化を持っているように思える二社だが、最近の活動は全く違ってきている。

最近の日本企業の活動を見渡すと、大きく二つの方向に分かれているように見える。

一つは、欧米企業の経営論理と手法を積極的に導入し、日本型経営スタイルから脱却し、企業価値を高めていこうとする行き方。

もう一つは、自らの生い立ちや企業文化を再確認し、そこにアイデンティティの源泉を見出し、深く掘り下げることで企業活動を活性化させ、企業価値を高めていこうとする行き方。

前者の代表格が、現在のソニーであり、後者がホンダであろう。

特にソニーはものをつくる会社であるにも関わらず、現場力はそれほど強くない。

一方のホンダは、創業以来一貫して現場第一主義である。

そこには脈々と創業者本田宗一郎のDNAが受け継がれている。

この本の題名は「なぜ、ホンダが勝ち ソニーは負けたのか」となっているが、

実際には、まだホンダが勝ち、ソニーが負けたと断言することはできない、

今後、この二社がどのような歩みをしていくのか、非常に興味深い。

それは、日本企業がどの道を歩んでいくべきなのか、その指標ともなるであろう。

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