« 林文子 すべては「ありがとう」から始まる/岩崎由美 | トップページ | 自分をもっと深く掘れ!/新渡戸稲造 »

2011年5月21日 (土)

一億円の死角/清水一行

Bt000010695300100101_tl

「しかしああいう金は、最後には拾った者を滅ぼす。貧乏人は貧乏人らしくというでしょう。金持ちになるにはそれだけのプロセスが必要なんです。プロセスを省略して掴んだ金など、身につくはずがありません」

この小説は、1980年銀座昭和通りで一億円を拾ったが、落とし主が現れず結局一億円は拾得主のものになったという実話と、ダイドー自動車販売という大企業をテーマにしている。

30年ぐらい前の作品であるが大企業の内幕と、一億円を拾った人の心の変化が生々しく描かれている。

“販売の神様”といわれる田部井彦太郎は、ダイドー自販を日本一の自動車販売会社に育て、名誉会長となっていたが、彼には大きな心痛があった。

長男の圭司が乱発した15億円の手形回収のため宗島連合に渡す資金一億円が忽然と消えてしまったからだ。

そのころ、トラック運転手の小島正吉は、銀座の歩道で一億円の札束を拾った・・・・。

このような形で物語りは展開する。

一億円を拾った男について、ダイドー自販の顧問弁護士は「ああいう金は、最後には拾った者を滅ぼす」と語る。

一億円というお金は今でも大金である。

しかし、同じ一億円でも、自分で苦労して稼いだ一億円と、拾った一億円では、額面は同じでも内容は違う。

一億円を拾ったのは小島というトラックの運転手だが、ダイドー自販の創業者、田部井彦太郎が死んだ後、その莫大な遺産に群がる4人の息子たちも、棚ぼたのお金をもらうということでは同じである。

創業者田部井彦太郎は、確かに莫大な資産を持っているが、そこにはちゃんとしたプロセスがある。

だから、お金の使い方を知っている。

しかし、一億円を拾ったトラック運転手、そして、彦太郎の遺産にむらがる4人の息子たちは、お金を稼ぐというプロセスが無い。

そのようなお金は、ほぼ確実にその人の人生を狂わす。

お金に限らず、何事もプロセスが大事だということだろう。

« 林文子 すべては「ありがとう」から始まる/岩崎由美 | トップページ | 自分をもっと深く掘れ!/新渡戸稲造 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 一億円の死角/清水一行:

« 林文子 すべては「ありがとう」から始まる/岩崎由美 | トップページ | 自分をもっと深く掘れ!/新渡戸稲造 »