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2011年5月19日 (木)

ビッグボーイの生涯 五島昇その人/城山三郎

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 慶太の死後十日目、昇は本社会議室に会社の役職者全員を集め、決意を述べた。(中略)
 「ところで一部マスコミは、当社が集団指導体制に移行するというような予測をしているが、事業を遂行する上においては、最高責任者は一人でなければならない」
と言い切った。口先だけのことではない。長い休戦の間、昇は昇なりに、父慶太を見つめ、学んできた。
 運転手・車掌合わせて三十人といった小さな目蒲電鉄を七十社三万人の企業群に育て上げた父。その父の生涯を貫いたのは、何よりも強力な意思決定ではなかったか。その父の路線を踏襲する、と宣言したのである。見つめ思いつめてきたことを口にしたまでであった。
 それに、昇のひとりよがりな思いだけによるものでもなかった。
 父の葬儀が終わった後、昇は父の大学時代からの旧友、正力松太郎を訪ねた。短く挨拶を交わしただけであったが、そのとき正力は、せきこむようにして昇に言った。
 「昇君、いちばん大事なことは人に相談するなよ」(P73~74)

「いちばん大事なことは人に相談するな」

会長五島慶太の死によって、東急の後継者問題にゆれていた時期、

五島昇に対して、このアドバイスを読売新聞社の経営者、正力松太郎がしたという。

独断は、プラスとマイナスの両面がある。

みんなで話し合って決める、これは民主的な決定方法であるように感じられるが、反面、責任の所在が曖昧になる。

またどうしてもリスクを取るような決定はし難く、無難な方向に流れがちだ。

独断は、その決断した本人の資質がそのまま組織の方向性を決めてしまう。

万が一、決断した本人のリーダーとしての資質に問題があれば、組織全体がおかしなことになってしまう。

どちらが正解とは言えないのだが、今の日本で売上を上げている企業、

たとえば、ファーストリテイリングやソフトバンク等を見ていると、トップの強いリーダーシップによっている部分があることは否定できない。

集団指導体制と一人の最高責任者がすべてを決める体制と、どちらが優れているかは、一概には言えないが、

少なくとも、今のような変化の激しい時代においては、後者のほうが有利であることは確かなようだ。

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