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2011年5月14日 (土)

重大事件に学ぶ「危機管理」/佐々淳行

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 後藤田長官の言うとおり、事は急の上にも急を要するのである。水蒸気爆発の恐ろしさは私もよく知っていた。熱く焼けた溶岩が海水で急激に冷やされて一大水蒸気爆発が起これば、島民や観光客など約1万3000人の命は、ひとたまりもなく吹き飛ばされてしまう。
 中曾根総理も執務室に到着された。藤森官房副長官が後藤田長官に報告する。
 「長官、国土庁は夕刻より19関係省庁の担当課長を防災局に集めまして、長い長い会議に入っております。佐々君や私が名を名乗って電話を入れても、『会議中です』の一点張りで、らちがあきません。国土庁には任せておけない。これは“伴走”いたしましょう」
 これを聞いて後藤田長官、ついに怒った。
 「何の会議をやっておるのか?議題は何か?すぐ聞け!」
 制度上は、情報は国土庁長官が総理へ報告することになっており、官房長官や副長官には報告されない。そこで、何の会議をやっているのか裏から探ってみた。
 すると、驚いたことに、第一の議題は「災害対策本部の名称」。大島災害対策本部とするか、三原山噴火対策本部にするか・・・、だそうだ。
 そして第二の議題。何と「元号を使うか、西暦を使うか」、つまり昭和61年とするか、西暦1986年にするか、だという。さすがにあきれて、「何でそんなバカなことを!」と聞くと、「昭和天皇はご高齢だから、万が一、元号が変わるようなことにならないとも限らない。しかし、西暦は前例がない」と議論しているのだとの答え。あまりのバカバカしさに目がくらんだが、念のために第三の議題も記しておくと、「臨時閣議を招集するか、持ち回り閣議にするか」だった。(P94~95)

1986年、三原山が噴火した。

三原山の噴火としては史上最大と言われる1777年のそれに匹敵する209年ぶりの大噴火だった。

一刻の猶予も許されない状況の中で、国土庁は会議ばかりを行っていたとのこと。

会議することが悪いのではないが、日本では無駄な会議があまりにも多い。

何も決まらない会議、最後まで結局一人の人がしゃべって決めてしまう会議、最後は声の大きな人の意見が通ってしまう会議、最初から結論ありきの会議、等々・・・

これらははっきり言って時間の無駄だ。

一方、吉越氏がトリンプ社の社長をしていた頃、行っていた「早朝会議」のように、

一つの議題にかける時間は2分、2分で意思決定し、決めたことには必ずデッドラインを設け、結果と問う、といった手法により、業績向上につなげた例もある。

これを考えると、会議そのものが悪いのではないということがわかる。

ただ、どんな会議が行われているのかが、そのままその組織のレベルを表しているということは言えるのではないだろうか。

それにしても、震災後あまりにも無駄な会議が延々と行われている現状をみると、本当に情けなくなってしまう。

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