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2011年5月20日 (金)

林文子 すべては「ありがとう」から始まる/岩崎由美

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 最初、林さんはセールスの方法を学ぶため、書店でトップセールスマンの書いた本を購入し、読んでみた。すると「毎日百軒訪問した」という例が書いてあったので、まねをしょうと思った。自分も百軒歩こう。百人の人と会話をしたら営業所に戻ろうと決心した。
 しかし、百軒というのは並大抵ではない。ドアも開けてくれない家、今忙しいからとけんもほろろに断る家、「女性のセールスなんて珍しいね」と話を聞いてくれる家のほうがまれだ。いろんな家を夜真っ暗になるまで訪問した。そんな中、「また来たの。熱心だね」と言ってくれる人が出始める。中には「お茶でも飲んでいったら」と家に上げてくれる人も出てくる。「本当に感激しました。見ず知らずの私を家に上げてくれるんですから」
 赤ちゃんがいて家をあけられない主婦の代わりに「じゃあ、私も主婦だし、車で来てちょっとマーケットに行くから、もしよかったら買ってきてあげますよ」などと牛乳を買いに走ったり、「何でも屋」に徹し、どんなことでも役に立つことなら手伝った。
 「何度もお話ししていると情のようなものがわいてきますでしょ。風邪をひいて困っていた奥様の代わりに買い物をお手伝いしたり、庭の手入れで悩んでいた方に植木屋さんを紹介したり」。そうした御用聞きのようなことをやっていた。「すごくそういうことが功を奏しましたね」。その結果、「どうせ買うなら、林さんから」と紹介してくださる方が徐々に現れ始めたのである。(P61~62)

ホンダの車の販売店に就職し、セールスをすることになった林氏が最初に行ったのが1日100軒の飛び込み訪問だったということ。

一般に飛び込み訪問は、効率が悪く、相手にいやがられ、時代遅れの手法だという認識がある。

しかし、林氏の非凡なところは、ただ単に1日100軒の訪問をノルマ的にこなすのではなく、そのことを通して自分なりのセールスのコツを発見し開発していったところにある。

実は、私も15年位前、損保のセールスをしたことがある。

その時、まず最初にやるように命じられたのが1日50軒の飛び込み訪問だった。

ただ、その時、こんなことも言われた、

「飛び込み訪問もできないようで、セールスマンとして生き残ることはできないと思え。でも、3年経っても飛び込み訪問しかできないようだったらセールスマンとして成功することはできない」

つまり、最初は絶対量を確保すること。

ただし、いつまでもそのことを続けるのではなく、

続ける中で、自分なりの方法を確立することが大事だということ。

これは、セールスに限らず、他の仕事にも当てはまる原則ではないかと思う。

つまり、最初はまず仕事の絶対量を確保すること。

そして、その中で自分なりのやり方を発見し、それを自分の得意分野にする。

これが、成長につながる。

量から質への転化、これができるかどうかがポイントである。

逆に言えば、最初から質ばかりを求めてもうまくいかないということ。

しかし、今の時代、最初から質ばかりを求める傾向があるのではないだろうか。

仕事でプロになろうとするならば、まず仕事の絶対量を確保すること、これが基本である。

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