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2011年6月23日 (木)

懲戒解雇/高杉良

A9rc851

「それ以外にとるべき途は、ほんとうにないのだろうか」
 仁科は、森の眼をくいいるように見つめた。
「ないね」
 森は断定的に言った。
「もし、俺がこんな理不尽な暴力に屈服して依願退職にしろ、懲戒解雇にしろ黙って受けていたら、両親に対して、妻子に対して、友人や恩師に対して顔向けできると思うか。俺はあの人たちを人間として赦すわけにはいかない。批判精神を認めようとせず、自分たちの野心のさまたげになる俺を暴力的にクビにしようとする。そんなやりかたに唯々諾々と従っていたら、俺の人生に陰が出来てしまう・・・・・」(P246)

三菱油化(現:三菱化学)がモデルとなっている経済小説。

最大手の財閥系合繊メーカー、トーヨー化成の森雄造課長は、がむしゃらな拡大路線をとる常務川井とことあるごとに対立する。

しかし、後ろ盾であった筆頭副社長の速瀬が子会社に転出させられ、川井は専務に昇格する。

一方、川井が社長である香港トーヨーが闇資金のプール会社であることを突き止めた森は、その非を咎め役員4人に実名入りの建白書を郵送する。

その行為で川井の逆鱗に触れた森は懲戒解雇を突きつけられる。

森は、最後の手段として、会社を訴える行為に出ようとする。

上記は、その行為を同期で親友の人事課長仁科が思いとどめようとする場面。

森は「人間として赦すわけにはいかない」「俺の人生に陰ができてしまう」と自らの正当性を主張する。

会社を提訴する行為は、もう後には引き返せないことを意味する。

まして、この小説が出版されたのは1980年代。

どこの会社も終身雇用、年功序列が一般的であった時代。

新卒で入った会社で定年まで勤め上げるのが当たり前だった時代である。

この時代、サラリーマンにとって懲戒解雇とは死刑宣告と同じだ。

それに楯突いて会社を提訴するなど、あり得ないことであった。

それは、それを知った経営陣の狼狽ぶりにもあらわれている。

しかし近年、労使トラブルは年々増加傾向にある。

会社が訴えられることもあり得る時代になった。

社員は経営者のいうことに黙って従っていれば良いという従来型の意識は改めるときがきているといえよう。

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