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2011年7月30日 (土)

第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい/マルコム・グラッドウェル

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 初対面の人に会うとき、求職者を面接するとき、新しい考えに対処するとき、せっぱつまった状況でとっさに判断しなければならないとき。そういうときに、私たちは適応性無意識に頼る。たとえば学生の頃、担当教官が有能かどうかを判断するのに、私たちはどれくらいの時間を費やしただろう。最初の授業で?それとも二回目の授業のあと?一学期目の終わり?
 心理学者のナリニ・アンバディによれば、学生たちに教師の授業風景を撮影した音声なしのビデオを10秒間見せただけで、彼らは教師の力量をあっさり見抜いたという。見せるビデオを5秒に縮めても、評価は同じだった。わずか2秒のビデオでも、学生たちの判断は驚くほど一貫していた。さらに、こうした瞬時の判断を一学期終了後の評価と比べてみたところ、本質的な相違はなかったという。初顔の教師の無声ビデオを2秒見ただけで下した判断は、その教師の授業を何度も受けた学生の判断と大差なかった。これが適応性無意識の力である。(P18)

長時間考えた挙句に出した結論より、最初の印象でパッと出した結論や何となく出した結論の方が正しいのは、無意識の内に脳が働いて瞬時に的確な判断を下しているからだという。

自分の持てる情報をすべて活用したわけではなく、一発でわかる情報だけを使って瞬時に結論に達する脳の働きを「適応性無意識」と呼ぶ。

心理学で最も重要な新しい研究分野のひとつであるという。

適応性無意識は、フロイトの精神分析で言う無意識とは別物だ。

フロイトの無意識は暗くぼんやりしていて、意識すると心を乱すような欲望や記憶や空想をしまっておく場所だ。

対して適応性無意識は強力なコンピュータのようなもので、人が生きていくうえで必要な大量のデータを瞬時に処理してくれる。

歩いて通りに出た瞬間、トラックがこちらをめがけて突っ込んでくるのが見えたとする。

あらゆる行動の選択肢を考えている暇があるだろうか。もちろん、ない。

人類が厳しい生存競争を勝ち抜いてこれたのは、情報がわずかでも素早く適切な判断を下す能力を発達させてきたからにほかならない。

心理学者ティモシー・D・ウィルソンは著書『自分を知り、自分を変える「適応的無意識」の心理学』で、

「高度な思考の多くを無意識に譲り渡してこそ、心は最高に効率よく働ける。最新式のジェット旅客機が〈意識〉的なパイロットからの指示をほとんど必要とせず、自動操縦装置で飛ぶのと同じだ。適応性無意識は状況判断や危険告知、目標設定、行動の喚起などを、実に高度で効率的なやり方で行っている」と語っている。

この本を読むと、まだまだ自分の中には、未開発の無意識の部分が随分あるということに気づかされる。

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