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2011年7月31日 (日)

異形の大国 中国/櫻井よしこ

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 人類の歴史で、経済成長は多くの場合、民主主義の成長を助けてきた。しかし、中国は明らかにそうしたこれまでの世界の事例とは異なる。
 中国で、現段階で民主化が行われたと仮定してみよう。結果として、中国に生まれた豊かな階層の繁栄が脅かされるだろう。中国の富裕層は、中国共産党との繋がりの中で生まれ、力をつけてきた。10億人ともいわれる農民を極貧状態に置き去りにしたその土台のうえに、彼らの繁栄や自由が成り立っている。民主化、つまり、一人ひとりの国民を公正に扱い、国内でも国際社会でもルールを遵守する法治国家に変身すれば、多くの違法行為によって莫大な富を成した現在の勝者は、間違いなく、足を掬われる。経済成長によって潤い、社会の主流勢力となった彼らが、さらなる民主化を阻止する勢力となるゆえんである。したがって、中国では、世界の他の国々と違って、経済成長は民主化社会の構築を意味しないのだ。(P436~437)

政治は共産主義、経済は資本主義という矛盾した体制を維持し続けている中国。

本来であれば、経済成長は民主主義の成長を助けるはずだが、中国の場合はそれが当てはまらないと櫻井氏は言う。

中国の富裕層は、中国共産党とのつながりの中で生まれ力をつけてきた。

いわば大きな闇社会が形成されていると言える。

もし、民主化が行われれば、彼らの違法行為が明らかになる。

そんなことは決して容認できることではない。

だからあらゆる手を使って民主化を阻止しようとする。

今回の温州での高速鉄道事故も鉄道省の利権の構造が根本にあることは明らかだ。

そして、突き詰めていけば中国共産党との癒着に行き着くことであろう。

しかし、そんなことは決して明るみに出ることはない。

結局、どこかで幕引きとなり、本当の原因は闇に葬られることになるのであろう。

櫻井氏は、隣に中国という国が存在することは、天が日本に与え給うた永遠の艱難であると述べている。

1949年以来中国共産党が一党独裁を続ける現代中国は、異形の国家である。

もはや無視することのできないほど経済的に発展し、影響力を持つことになった中国。

この異形の大国とつき合いながら、その脅威をどう抑制していくかは、日本が如何に賢く、強くなっていくかという課題と同義語だ。

日本の対処のし方がこれからの日本の運命を決定づけるのであり、同様の問題は、日本だけでなく、世界全体が直面している問題でもある。

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