ユニクロ・柳井正の進化し続ける言葉/川嶋幸太郎
「リスクを取るということは、無謀とは違う。リスクを取るということはリスクを量らなければならない。そこを勘違いしてはいけない。ぼくを冒険主義の経営だと思う人もいるようですが、それだったら会社はつぶれていますよ。この程度なら失敗しても大丈夫だと、リスクを量っているのです」(P117)
成功するためには、失敗を恐れずどんどん新しいことにチャレンジすることだ。
柳井氏も、多くのチャレンジをし、いくつもの失敗を重ねている。
スポクロ、ファミクロという新業態の失敗、ニューヨークデザイン事務所の失敗、野菜販売の失敗など、着手して1~2年でさっさと撤退している。
成功すると思って始めた事業がうまくいかないと、普通の経営者は成功するまで続ける方針を採る。
そして成功の見通しもないままずるずると赤字を垂れ流す。
それに対して柳井氏の決断は早い。
素早く進出し、見通しが立たなければ速やかに撤退する。
どこでどのように見切っているのだろうか。
おそらく、どこまで踏み込めば大丈夫か、どこを超えると危ないか、というリスクを判断する基準があるのだろう。
「リスクをとる」という言葉は、積極経営を標榜する経営者がよく使う言葉である。
しかし、その結果、会社をつぶしてしまったら元も子もない。
経営は「ばくち」ではないのである。
傍からみると無謀とも思えるようなチャレンジを繰り返しているように見える柳井氏。
しかし、そこには綿密なリスクの計算があるということ。
「リスクをとる」と「無謀」とは全くちがうのである。
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