一流たちの修行時代/野地秩嘉
柳井は人と会食はしない。財界人や政治家とも付き合わない。午後5時になると社を出て、自宅に戻り、本を読みながら仕事について考える。ストイックに見えるけれど、彼にとってはそのほうが楽だし、そうやって四六時中、仕事のことを考えているのが体質になっているのだろう。そして、彼はまだまだ修業を続け、まだまだ成長を望んでいる。(P26~27)
今や日本を代表する企業に成長したファーストリテイリングの会長兼社長、柳井正氏。
しかし、そのスタートは決して順調ではない。
縁故でジャスコに入社したもの、すぐ辞めてしまい、その後はフリーター生活。
父親から「戻ってこい」と言われ、小郡商事に入社。
2店舗の責任者とされたものの、7人いた従業員は1人を残してみんな辞めてしまう。
その後も悪戦苦闘を続け、現在のユニクロを築き上げる。
その柳井氏の日常は、多くの大企業の経営者とは異なる。
大企業の経営者ともなれば、政治家や財界人との付き合いは欠かせないものだ。
それによって情報を得、人脈を広げ、仕事を広げていく。
しかし、それに比べると、柳井氏の日常は地味でストイックである。
つまり、人それぞれ、自分に合った仕事のスタイルがあるということ。
とかく人は、大企業の経営者なのでこうしなければならないと、パターン化してしまう傾向がある。
また、おそらく周りもそのようにアドバイスするであろう。
しかし、もし、柳井氏が、そのようなアドバイスに従い、他の経営者と同じことをしていたら、どうなっていただろう。
おそらく、現在のユニクロはないだろう。
人はそれぞれ、自分に合ったスタイルがある。
そして時には愚直なほど、自分のスタイルを貫くことも必要だということであろう。
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