後藤田正晴と十二人の総理たち/佐々淳行
「海部にはワシが話しておく。ワシントンに行って、戦さになるかどうかの判断の基準になるナマの情報をとってこい。君ならできる、いや、君しかできん。うまくいったらワシと海部と、そうだ橋本(大蔵大臣)に直接報告せい、官邸や外務省には報告無用」
まさに“二元外交”だ。これでは隠密同心、草の者、お庭番だ。「死シテ屍拾ウモノナシ」だ。
私は血が逆流するような使命感がわき起こるのを覚えた。私を評価して頼りにしてくれているのだ。(P84)
1990年、湾岸危機が発生したとき、後藤田氏はアメリカが攻撃を開始するかどうか、情報収集のため、佐々氏にワシントンに行くことを命じる。
二元外交を命じるわけだが、後藤田氏と佐々氏との長い間の信頼関係があったからこそ可能な命令であったのだろう。
特に後藤田氏の言った「君ならできる、いや、君しかできん」という言葉は、人を動かす言葉として、お手本のような言葉である。
佐々氏はこの言葉を聞いて、「私は血が逆流するような使命感がわき起こるのを覚えた。私を評価して頼りにしてくれているのだ。」と回想している。
「リーダーとは人を動かす言葉を持たねばならない」ということのお手本のようなエピソードである。
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