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2011年7月18日 (月)

職業とは何か/梅澤正

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 「やりたい」は自らの欲求に発しており、本人の主観的目標の達成が目的となります。その「やりたい」を、他人や社会との関わりを考え、さらに現在ではなく将来の視点を入れて客観化すると、そこに「価値」という概念が浮上します。たとえば、極端な例かもしれませんが、いまの自分としては彼のことが殺したいくらいに憎いけれど、(双方の)親や兄弟は悲しむだろうな、犯罪者になったら自分の一生は台なしだと見通すと、殺すべきではないという判断になります。
 いまの世の中、こうすべき、そうすべきではないという価値規範は影響力を失っていますが、その風潮を煽る言論は好ましくないというのが私の考え方です。それでなくとも、いま若者たちは、「やりたいこと探し」に翻弄されています。(P34)

ここで梅澤氏は、いまの若者の職業選択の基準が「やりたい」に偏りすぎているのではないかと言っている。

「自分探し」「夢はかなう」という言葉ばかりが強調され、現実感がなくなってきているのではないかと危惧される。

もちろん、自分の「やりたい」ことや「夢」を持つことは大事だ。

しかし、誰もが自分の「やりたい」職業につけるわけではないし、「夢がかなう」わけでもない。

誰もが「やりたい」ことが適い、「夢」が実現するならば、野球選手、サッカー選手、芸能人ばかりになってしまうだろう。

そもそも、そんなことはあり得ないし、あまりにも非現実的だ。

職業選択のもう一つの基準として、「やるべき」というものもあるのではないだろうか。

何かをきっかけに「私はこの職業をやるべきだ」という想いを持ち、職業を選んだ人も多くいるはずだ。

つまり「やりたい」と「やるべき」の両方が必要だということ。

これは権利と義務の関係ともよく似ている。

権利ばかり主張する人ばかりだと社会はおかしくなる。

やはり権利があると同時に人には義務が与えられている。

その両方を果たすことにより健全な社会は形成される。

同様に、職業選択も「やりたい」と「やるべき」の両面から考えるべきだろう。

それだけに「やりたい」ことばかりをあおる今の風潮は少し問題があると言える。

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