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2011年8月16日 (火)

燃ゆるとき/高杉良

A9r5b14  横須賀水産設立時の従業員はわずか五人、森を含めて六人の世帯だった。
 設立登記を終えた三月二十五日の夜、事務所で茶碗酒で乾杯してから、森は五人を前に照れ臭そうな顔で挨拶した。
 「横須賀水産はゼロからの出発どころかマイナスからの出発という厳しい門出になりました。しかし、僕は必ず会社は大きく成長すると確信しています。チャレンジ精神を忘れず、誠意とやる気さえあれば、仕事はいくらでも増えると思うし、多くの人々から信用もされると思います。人に対して威張らずに謙虚であってほしいと思います。そして僕自身、正義の味方でもありたいと願ってます」
 森にとって、いわばバージンスピーチでもあった。
 話してるほうも、聞いてるほうも皆んなナッパ服にゴム長スタイルだった。(P29)

築地魚市場の片隅に興した零細企業が、「マルちゃん」ブランドで一部上場企業に育つまでを実名で描いた経済小説。

わずか4パーセントの生存率といわれるノモンハンの激戦を生き抜いた森和夫は、「どんな苦労も苦労のうちに入らない」と、築地魚市場の片隅に従業員5人で起業する。

商社(現三井物産)の横暴、ライバル企業(日清食品)との特許抗争、米国進出の苦難を乗り越え、東洋水産は、「マルちゃん」のブランドと「赤いきつね」のCMで知られる大企業へと育つ。

創業者が一代で一部上場の大企業に育てるのは並大抵のことではない。

どのようにして東洋水産は倒産の危機を何度も潜り抜け現在のように輝く大企業として生き残ってきたのか。

その秘訣は、その創業時の森氏のスピーチに語られている。

「チャレンジ精神を忘れないこと」

「誠意とやる気を持つ」

「人に対して威張らずに謙虚であること」

「正義の味方であれ」

森氏はこの創業時に5人の社員の前で語ったことを愚直なまでに実行する。

結局は成功する経営者の条件とは信念を曲げず「強い思いを持ち続ける」ことではないだろうか。

これは簡単なようで難しい。

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