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2011年8月28日 (日)

「見せかけの勤勉」の正体/太田肇

Bt000012728500100101_tl  部下は上司から「やる気を出せ」と言われ続けると、そしてやる気が評価や処遇に結びつくとなると、「そんなに言われてもやる気は出ない」ではすまない。とにかくやる気を出さなければいけないと焦り、やる気を絞り出す。その結果、やる気が自己目的化する。カラ元気を出して、同僚やライバルに負けないよう、がむしゃらに働く。しかし、やる気の出る原因そのものが存在しないのだからそれは長続きしない。
 そこで、だんだんやる気を装うすべを覚えるようになる。
 高校野球を観ていると、野手は飛んできた打球を捕れないとわかっていてもダイビングする。プロ野球ならノックアウトされた投手はベンチでグラブを投げつけたり、ロッカーを蹴ったりするし、チャンスで三振をした打者はバットをへし折る。そうしなければ、「ファイトがない」、「口惜しさが感じられない」と言われ、つぎから使ってもらえないかもしれないからだ。(中略)
 会社のなかでも「やる気」の演技者をいたるところで見かける。自分の中の存在感を示そうと、周りの迷惑を顧みず必要以上に大きな声を出す人。会議で延々としゃべり続ける人。できもしないのに大言壮語する人。上司に取り入る人。仕事をやたらたくさん抱え込む人。そして口癖のように「忙しい」という言葉を連発し、せわしくなく動き回る人。休暇は少しも取らず、毎晩遅くまで残業している人。(P195~197)

見せかけのやる気と、本物のやる気とは性質が全く異なる。

本物のやる気は内側から出てくる。

そのためやる気が継続し、目的に向かっていく。

つまり成果を出すための心理状態であり、結果として成果が出る。

しかし、見せかけのやる気は、人に見せるためのやる気。

あくまでポーズ。

内容が伴っていないため、人が見ているときだけ、やる気を出している振りをする。

無理があり、長続きしないため、当然成果は出ない。

また場合によっては、心理的な無理がたたって、うつになることもある。

つまり本物のやる気と見せかけのやる気は全くの別物ということ。

そして、日本人の場合、見せかけのやる気の場合が非常に多い。

日本人の場合、小さいころから集団の中での自分をいつも意識して生きてきている。

考えることは「人は自分をどう見ているのだろう」ということ。

だから、「やる気を出せ」と言われた場合、「見せかけのやる気」に走ってしまう。

それそも、「やる気」とはあくまで内発的なものであるはず。

にもかかわらず「やる気を出せ」と外側から働きかけるのは、どう考えてもおかしい。

そして、この論理的に矛盾していることがまかり通るところに日本の組織の特殊性がある。

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