「船井流経営法」の原点/船井幸雄
ケネディとジョンソンはどこがちがっていたのだろうか。
一番大きなちがいは、人間性のもつ謙虚さと、アタマの柔らかさであったようである。
ケネディは、エクス・コムメンバーに意見を充分に出させ、それらを「包みこみがベスト」という発想で検討して意志決定をした。
エクス・コムメンパーは、自分の意見が充分とりあげられるので、それこそ真剣に、全知能をかたむけ、それが衆知結集されたのである。普通「包みこみ」と「衆知結集」はリーダーが謙虚でアタマが柔らかくないと、絶対にできないといってよい。といっても、ケネディはワンマンであった。強いリーダーシップを持っていた。
一方、ジョンソンも、大統領としては超ワンマンであり、リーダーシップを持っていた。
ただ、他人の意見を意志決定には取り入れなかったようにみえる。いうならば、自分の考えだけで意志決定をしたといわれても仕方がないように私には思われる。
ジョンソンも、優秀なアドバイザーグループをもっていたし、手続き的には、これらのメンバーに諮問し、出てきた勧告案を集団討議にかけてから決断したのだが、メンバーは、ジョンソンの意向に反するような意見は出せなかったようである。それは彼の個性の強さと権力行使法のせいであったと考えられる。(P107~109)
日本に優れたリーダーがいないからかもしれないが、リーダーシップということがよく話題になる。
ただ、「強いリーダーシップ」という言葉を誤解して受け止めてしまっている人が意外と多い。
人の意見を聞かず何でも自分ひとりで決めてしまうのが強いリーダーと受け止めている人は意外と多い。
確かに人の意見を聞きすぎて、優柔不断になり、何も決断しないリーダーは最低だが、
かといって何でもひとりで決めてしまうリーダーが強いリーダーとは言えない。
本当の強いリーダーとは人の意見を十分に聞いた上で自分の責任において意思決定をする人だと言える。
ケネディは、キューバ危機のとき、ギリギリのところで戦争を回避した。
一方、ジョンソンは、ベトナム戦争を泥沼化に導いてしまった。
どこが違っていたのか。
ひとつ言えることは、リーダーシップの型が違っていたということ。
ケネディは、エクス・コムメンバーに意見を充分に出させ、それらを「包みこみがベスト」という発想で検討して意志決定をした。
一方、ジョンソンも優秀なアドバイザーグループを持っていたが、彼らの意見を意志決定には取り入れなかった。
歴史をみると優れたリーダーとはどのような存在なのかがよくわかる。
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