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2011年8月10日 (水)

働く女の胸のウチ/香山リカ

A9r9d  以前、ある週刊誌に、新潟県中越地震のボランティアたちの“あきれた現状”のリポートが載っていた。
 被災者を支援しようと全国から若者が集まったのはいいが、“学園祭気分”に浮かれて歌を歌ったり、自衛隊などが配る食事の列に並んで「今日のラーメンはコクがあった」などとのんきに語り合ったりしているのだという。
 この記事を大学の学生たちに読んでもらい、感想を聞いた。男子学生の多くは「そんな人たちが行くのは迷惑」「ボランティアの意味をはき違えている」と、“お気楽ボランティア”たちに批判的だった。
 ところが女子学生たちの中からは「いいんじゃないの」という声も聞かれた。「一生懸命、仕事したあとに食事を楽しんで、どこが悪いの?」「被災者の邪魔にならない程度に、歌を歌ったり語り合ったりして楽しくすごすのは大事なこと」。
 つまり、やることさえきちんとやれば、「被災現場なのだから暗い顔をして地味に過ごさなければ」と思う必要はない。むしろ食事や語らい、おしゃれなども楽しむべきだというのだ。
 そういえば、阪神大震災のときに、市民ボランティアとして活躍した田中康夫長野県知事も、被災地を走り回ったあとはガールフレンドと大阪で豪華な食事を楽しんだりしていた。自分の楽しみまで自粛するのは、かえって偽善的だと思ったのだろう。(P92~93)

ある週刊誌に載ったという、新潟県中越地震のボランティアたちの“あきれた現状”のリポートは日本人のメンタリティーを考える上で非常に興味深い。

このボランティアたちの行為を「けしからん」と見るか「やることはちゃんとやっているんだから、いいんじゃないの」と見るか、

これまでの日本人のメンタリティーから考えると、前者の「けしからん」ということになる。

また、だからこそ、週刊誌の記事になったのだろう。

しかし、「こんなことをするのは、あれだけ苦しんでいる被災者に申し訳ない」という感覚が、今回の東北大震災の復興を遅らせているという一面もしっかりと見る必要がある。

例えば、震災後の消費の低迷は、明らかに日本人のメンタリティーがマイナスに働いたケース。

「被災者があれだけ苦しんでいるのに、自分たちだけが楽しむのは申し訳ない」という心情が消費を低迷させた。

震災後、テレビCMを民間企業が自粛し、ACジャパンのCMばかりが流されたことも記憶に新しい。

これも震災後の復興ということを考えるとマイナスである。

目的合理的に考えるならば、今こそ消費を刺激し、景気を回復させ、その収益を復興に持っていく必要があるのだが、どうも日本人のメンタリティーは逆の方向に働く。

私は両面があっていいと思っているのだが、問題は、日本人はどちらか一方方向に偏りすぎるということ。

つまり、多くの人が一方方向に流されていこうとしているとき、異なる意見を言いにくいということ。

また、それを排除する力が必要以上に働くということ。

つまり、今だに、日本はムラ社会という一面を強く持っている国だということ。

やはり、これは変える必要があるだろう。

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