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2011年9月19日 (月)

日本はなぜ敗れるのか/山本七平

A9r4882  独系の米兵がいうのに、米国は徹底した個人主義なので、米国が戦争にまけたら個人の生活は不幸になるという一点において、全米人は鉄の如き団結を持っていた。日本は皇室中心主義ではあったが、個人の生活に対する信念が無いので、案外思想的に弱いところがあったのだという。
 個人としては、天皇も東条首相もまた大本営の首脳も、何一つ、静かなる自信をもっていなかった。また確固たる思想があるわけでもなかった。従って、一個人の目から見れば、それは自分の生涯には全く関係なき、一つの無目的集団であった。
 実際、日本軍自体が具体的に何を目的として行動していたかは、いまともなると、だれにもわからない。ましてそれがどう行動しようと、各個人の生活は、それによって被害をうけることはありえても、何らかのプラスになりうるとは、だれにも考えられなかった。
 アメリカ人は、自己の生存と生活を守るというはっきりした意識の下に戦争に参加した。しかし日本人は、自己の生存と生活を守るためには、何とかして徴兵を逃れようと、心のどこかで考えていた。従って、戦争に参加せざるを得なかった者には一種の空虚感があり、徴兵を免れた者への羨望があった。(P289)

この山本氏の指摘は非常に興味深い。

つまり、徹底した個人主義の米兵には「自己の生存と生活を守る」というはっきりとした戦う目的があった。

一方、日本には、建前としての皇室中心主義はあったものの、突き詰めて考えれば無目的集団であった。

むしろ、日本兵は自己の生存と生活を守るために、何とかして徴兵を逃れようと考えていたという。

人間、生きるか死ぬかの究極の状況に追い込まれたとき、建前など何の意味もなさない。

そこは直感と本能の世界。

「何としても自己の生存と生活を守る」という生存本能をそのまま組織力とした米兵と、建前に生きている日本兵が戦った場合、どちらが勝つかは火を見るより明らか。

日本が戦争に負けた一因も、案外このような人間としての本質の部分を否定し、建前に生きようとしたところにあったのではなかろうか。

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