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2011年9月15日 (木)

AD残酷物語/葉山宏孝

Bt000012978700100101_tl  こんなことがあった。ある制作会社のADは仕事が終わったので、深夜宅送で帰宅した。この日は深夜に会議が行われていたが、彼はその会議に参加する必要がなかった。1時、2時・・・・・・いつまでたっても終わらない。彼は何もやることがないので帰宅した。当然だろう。
 会議終了後、ADが帰宅したことを知った所属会社の女性ディレクターは烈火のごとく怒りだした。
 「何おめー先に帰ってんだよ」
 深夜3時過ぎにもかかわらず電話をし、すでに帰宅しているADを局内に呼び戻した。別に何か仕事があったわけではない。ただ、彼が自分より先に帰宅したことに腹を立てたらしい。
 「先に帰るなんて随分えらくなったな!私たちだって昔そうやってきたんだから、おめーもやれよ」
 深夜の局内の静かな廊下に、女性ディレクターの怒号だけが響き渡った。私は呆れながら聞いていた。

テレビ番組の制作現場では、少数のテレビ局の社員と、多くの制作会社の社員、派遣、請負の社員が混在して仕事をしている。

彼らは、たとえ同じ仕事をしていても、また、たとえ同じ能力を持っていたとしても、その待遇には天と地ほどの開きがある。

まさにそれは現代の奴隷制度さながらの世界。

中でもADの待遇はひどいもの。

長時間労働、暴力、虐待、嫌がらせ、セクハラ、パワハラ・・・

これらが日常的に行われている。

この本は、テレビ番組の制作会社に就職し、悲惨なADの世界に飛び込んでいった著者、渾身のノンフィクションである。

テレビの制作現場はひどいということはうわさには聞いていたが、この本を読んでみると、改めてリアリティーをもってその現実が迫ってくる。

そして、今はテレビ局そのものの収益もかなり厳しくなってきている。

おそらくそのしわ寄せは、制作会社の社員、派遣、請負の人たちにいっているのだろう。

益々、ひどいことが行われているだろうということは、想像に難くない。

テレビという一見華やかな世界の裏側に、いかに悲惨な現実が隠されているか、それを知るには最適な本だと思う。

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