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2011年9月28日 (水)

父が子に語る昭和経済史/竹内宏

A9r8329  日本の企業は、つぎつぎに海外不動産を買収した。平成に入る頃には、ロスアンゼルス市で言えば、ダウンタウンの新築高層ビルや、ビバリー・ヒルズやベル・エアといった高級住宅地にある超高級ホテルは、ほとんど、日本企業に買収された。コロラドやネバダの超一流スキー場の三つが、日本の企業のものになり、ハワイの高級ホテルの六割は、日本企業の所有になるというすさまじさだ。
 バブル経済の時には、地上げ屋に土地を売却した人達は、巨額な資金を手に入れた。巨大都市に住む人達の多くは、地価や株価の値上がりによって、大資産家になった。こうした土地成金と、にわか資産家達は、ベンツ、ルイ・ヴィトンといった高級品を使い、ナポレオンを飲んだ。バブル経済の時の消費の拡大の四割は、土地成金によるものであり、二割は、にわか資産家の支出だという。消費は、高級化、多様化の一途をたどった。
 バブル経済の時には、ほとんどすべての人が、日本経済のすばらしい発展の継続を信じ、日本経済の実力は、アメリカを軽く抜き去ったと錯覚してしまった。(P262)

1980年代の後半から90年代のはじめにかけて日本はバブルに踊った。

当時の日本人はこれがずっと続くと思っていた。

バブル崩壊を予測した経済の専門家はほとんどいなかったのではないだろうか。

今でも記憶に残っているのは、日本企業が海外の不動産を買い漁り、アメリカのシンボルともいえるエンパイア・ステートビルまで買収したこと。

アメリカ人の心情を考えると、なんと日本人は厚顔無恥だったことかと思う。

そして今は中国が同じことをしている。

しかし、バブル経済のもとで、景気が過熱し、地価や株価だけではなく、一般物価の上昇率が高まってくると、日本銀行は、金融引締め政策を開始する。

大蔵省は地価上昇を防ぐために、銀行に対して、不動産に対する厳しい融資規制を行い、また投機的な不動産の売買を防ぐための土地の短期譲渡重課税の制度をもうける。

金利の上昇とともに、株価は急激に低下し、土地への融資も抑えられ、地価は下降し続け、ついにバブル経済は崩壊する。

今、振り返ってもあれは何だったんだろうと考えてしまう。

バブル経済と表現するように、実体経済を「泡」で包んで大きく見せていた時代。

そして、その泡で膨れ上がった経済を、実力だと思い上がっていた時代。

日本に二度とこのようなことは起こらないだろうし、起こってもらっても困る。

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