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2011年10月18日 (火)

わが夫 坂本龍馬/一坂太郎

C__docume1__locals1_temp_znp16  龍馬はそれはそれは妙な男でして、まるで他人さんとは一風違っていたのです。
 少しでも間違った事はどこまでも本を糺さねば承知せず、明白に謝りさえすればただちにゆるしてくれまして、「この後はかくかくせねばならぬぞ」と、丁寧に教えてくれました。
 衣物などもあまり綺麗にすると機嫌が悪いので、自分も垢づいた物ばかり着ておりました。一日、縦縞の単物を着て出て、戻りには白飛白の立派なのを着て来ましたから、
 「だれの」
 と問うたら、
 「俺の単物を誰か取って行ったから、俺は西郷からこの衣物を貰ってきた」
 と言いました。
 長崎の小曾根で一日、宿の主人らと花見に行く時、お内儀さんが、
 「今日は美いのを御召しなさい」
 と言ったけれど、私は平生着の次のを着て行きましたが、龍馬が後で聞いて「よかった、よかった」と言って喜びました。
 「十人行けば、十人の中でどこの誰やら分からぬようにしておれ」
 と、つねに私に言い聞かせ、
 「人に軽蔑される」
 と言えば、
 「それが面白いじゃないか」
 と言っておりました。(P18~19)

本書でおりょうが語る坂本龍馬からは、古き良き時代の不良の臭いがぷんぷんとする。

仲間と変装し妓楼に繰り出す。

奉行所や新選組の捕吏に追いまわされる。

船上で射撃の腕を競う。

霧島で権威の象徴とも言うべき天の逆鉾を引き抜く。

まさにおりょうのいうところの「妙な男」である。

一方、おりょうのことも、龍馬は「面白き女」と言っている。

妹が編されて売られそうになるや、やくざ者相手に大ゲンカをして取り戻す。

男装して一人で怪しげな遊女屋をからかう。

龍馬の実家へ行くが、案の定ケンカして飛び出す。

強盗をピストルで追い払う。

本書は、幕末の風雲児・坂本龍馬の女房おりょうが後年「反魂香」などに残した聞書きから、素顔の龍馬を描いたものだが、ここには、等身大の龍馬とおりようがいる。

いかがわしく、危険で魅力的な不良カップルだ。

しかし、だからこそ変革のエネルギーになったのだと、本書を読みながらつくづく考えさせられた。

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