今、世界経済で何が起こっているのか?/三橋貴明
そもそも、一口に「政府の負債」と呼んでいるが、最低でも三つの視点から見なければ、正しい状況はつかめない。三つの視点とは何かといえば、
Ⅰ 誰から借りているのか
Ⅱ 何建てで借りているのか
Ⅲ 何に使ったのか
の三つになる。
逆に、この三つの視点から「政府の負債」を見ることで、その国に何が起きたのか、あるいは何が起きるのかを、明確化することができるのである。
最も典型的な例として、ギリシャを取り上げる。(中略)
ギリシャ政府は、外国から自国で金利調整ができない共通通貨ユーロ建てでお金を借り、経済成長への効果が薄い国民への手当系に費やしていたのである。
より噛み砕いて書くと、ギリシャは政府はドイツやフランスからお金を借り、国民に手当としてばら撒いていたわけだ。ばら撒いてもらった国民の方は、それを自らの財産として銀行に溜め込んでおくことができるわけだが、GDPは一円も増えない。それはもう、破綻して当たり前だろう。
この「外国から(Ⅰ)」「共通通貨ユーロ建て(Ⅱ)」で政府がお金を借り、「手当系(Ⅲ)」に費やしていたギリシャと日本を比較する際に、政府の負債対GDP比率のみを用い、
「ギリシャは破綻した。日本の国の借金の状況はギリシャよりも悪い。だから、日本も破綻する」
などとやっているわけであるから、国内のマスコミのレベルの低さに、改めてため息がでてしまう。
昨日の新聞に、「財務省は、2011年度末の国債や借入金などを合計した『国の借金』が、前年同期に比べ1年間で99兆7451億円増え、過去最大の1024兆1047億円に達するとの見通しを明らかにした。」との記事があった。
ついに国の借金が1000兆円を超えるということを聞くと、「この国は大丈夫なの?」とつい思ってしまう。
マスコミも「このままではギリシャのように破綻する」と恐怖心を煽る。
しかし、「どこまで信じていいのだろう」というのが本音である。
そんなこんなで本書を読んでみた。
ここで三橋氏が言っていることは、一言で言えば「日本は絶対ギリシャのように破綻はしない」ということ。
その根拠として、日本は「国内から(Ⅰ)」「自国通貨日本円建て(Ⅱ)」で政府がお金を借りている。
問題の使い道だが、少なくともこれまでは公共投資や政府最終消費支出など、直接的にGDPを拡大する使い方が多かった。
と、根拠をあげている。
どの国にも借金がある。
問題はどんな種類の借金であるかということ。
経済に疎い私だが、マスコミの報道を鵜呑みにすることがいかに危険であるかということを考えさせられた。
やはり、国民はもっと自分の頭で考えることが必要なのだろう。
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