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2011年10月 9日 (日)

高橋是清と田中角栄/小林吉弥

Bt000010826500100101_tl  二人はまた、「実学」を武器としてはい上がった点で、なんとも特徴的だった。女遊びも大酒もやったが、人一倍の努力家であった。男としての、哀しいほど度胸との戦いでもあった。そうした過程で人心とは何かを学び、人を見抜く「人間学」の“博士号”を取った。二人に共通する弱い者に目が向けられた心は、こうしたなかで育まれたと言っていい。弱い者に本当に目が向けられてこそ、本物、強者である。自分は安全地帯にいて、外でカッコいいことを口にする“自己主義者”はゴマンといる。すべて、ニセ者である。
 田中は言っていた。
 「政治とは、国民の生活をどうするかだ。政治は、結果責任がまず第一に問われる」
 「世の中は、嫉妬とソロバン(計算)の渦だ。嫉妬は、インテリほど強い」
 社会の実相を一言で見抜く、「人間学博士」らしい田中の言葉だ。
 もとより、人間、生き抜くために打算はやむを得ない。しかし、高橋是清も田中角栄も、その打算が改めて「私」四分、「公」六分であったことが白眉だった。行動の発露、人生の力点は、つねに「私的利益優先」を超えて「公的利益優先」へ目がいっていたということである。

「だるま宰相」と呼ばれた高橋是清と、「今太閤」と呼ばれた田中角栄。

二人には驚くべき酷似点があった。

放蕩三昧もあったが、常に「公的利益」を優先、また勤勉だった。

そして何よりも人間を知っていた。

田中角栄は、巧みな官僚操縦術を見せつけ、「コンピュータ付きブルドーザー」と形容される知識量・実行力で知られた。

首相在任中には、中華人民共和国との間の日中国交正常化、

第一次オイルショックなどの政治課題に対応、

日本列島改造論で一世を風靡した。

歴史に「もしも」はないというが、もしも、あの時、中国との間で国交正常化がなされなかったとしたら、今の日本はどうなっていただろう。

経済的にとんでもない危機に見舞われ立ち上がれないような状態になっていたかもしれない。

高橋是清は昭和金融恐慌が発生し、瓦解した第1次若槻内閣に代わって組閣した田中に請われ自身3度目の蔵相に就任、

支払猶予措置を行うと共に、片面だけ印刷した急造の200円札を大量に発行して銀行の店頭に積み上げて見せて、預金者を安心させて金融恐慌を沈静化させた。

犬養毅が組閣した際も、犬養に請われ4度目の蔵相に就任し、金輸出再禁止、日銀引き受けによる政府支出の増額等で、世界恐慌により混乱する日本経済をデフレから世界最速で脱出させた。

いずれも優れた決断力と強い実行力によって、日本を危機から救っている。

二人に共通していること、それは自分の人生を通して人間を熟知していたということ。

今の二世議員が大半を占める国会議員に最も欠けているものを持っていた。

この二人の生き方に、今の閉塞社会を打ち破る多くのヒントがある。

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