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2011年11月 2日 (水)

なぜ、脳はiPadにハマるのか?/篠原菊紀

4054048269  ボールペンを指先でくるくる回すクセがある人を見かけたことはありませんか?
 「ボールペンを回す」は単なる身体操作です。習慣的行為です。
 その「身体操作」が、無意識にできる「技」として獲得されていく過程をみると、まずは意識的な活動にかかわる脳の表面、前頭前野、前運動野、運動野などが強く活動します。そして、訓練が進み無意識にボールペンが回せるようになると、前運動野、運動野など脳の表面の活動は小さくなり、かわって線条体、小脳など脳の奥の活動が強まります。
 これが無意識レベルの技の獲得の過程です。
 この過程で、わたしたちは「あっ、今の感じいい」「おっ、うまくいった」などと快感系も活動させます。そして、よりよい動きに「快」のラベルを貼って、その行為を選択的に強化していきます。
 その結果、無意識化された身体操作と快が強固にカップリングされ、「ボールぺンを回す=快」と感じられるようになります。
 このカップリングができ上がると、ストレスを感じる場面などで、知らないうちにボールペンを回すようになります。だからテスト勉強などをしているとき、無意識に「快」を求めてボールペンを回してしまったりするのです。自動化した動作は「快」を貼りつけられ、ストレスをマスクするため、ついその動作をしてしまうことになるのです。
 「貧乏ゆすり」も同じ。
 これが無意識的な「動機づけ」のメカニズムです。
 アイパッドの操作でも、同じような効果が生じる可能性があります。
 指で「はじく」「たたく」「なでる」「つまむ」などの身体操作は、もともと無意識化されている動作です。操作としても簡単に獲得しやすく、アイパッドの世界で得られる快感も簡単につけ加えられていきます。
 だから、アイパッド操作と「快」がカップリングしやすく、「アイパッドを操作するのが何だか気持ちいい」のです。ついアイパッドをいじりたくなります。

人はどうしてアイパッドにハマるのか。

これにはちゃんとした科学的理由がある、というのが本書の主題となっている。

どんな人も「快」を求める。

そしてアイパッドの指で「はじく」「たたく」「なでる」「つまむ」などの身体操作は、もともと無意識化されている動作で「快」に結びつきやすい、とのこと。

つまりアイパッドがこれまでのパソコンとちがうのは、より直観的な操作が可能になったということ。

そして、それによってアイパッドを操作すること、そのものが「快」と感じるようになったということ。

そのようなアイパッドを世に送り出した、スティーブ・ジョブズは本当の意味で天才だったのだろう。

でも、今後アイパッドはどのように進化していくのだろう。

それとも、ジョブズが死んだことによって、アイパッドも進化を止めてしまうのか。

次の一手に注目したい。

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