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2011年11月28日 (月)

原発・正力・CIA/有馬哲夫

4106102498  被爆国の日本で原子力の研究開発を進めることは容易ではない。日本学術会議も、原子力の研究が軍事目的に使われるようなことがあってはならないと決議したほどだ。このような姿勢を変えるとすれば、メディアの力が必要だった。また、当時の日本の経済力と研究状況では、アメリカの援助なしに原子力の研究開発を進めることは難しかった。誰かアメリカから援助を引き出せるような強力なコネを持った人物が必要だ。そこで浮かび上がってくるのが、メディアとアメリカ・コネクションをもった正力だった。(中略)
 正力は日本テレビと讀賣新聞を持つメディア王であるという点でも、財界人の集まりである日本工業倶楽部に出入りし、日本テレビ設立時には総額で七億円もの出資金を集めた実業家であるという点でも、原子炉のセールス・プロモーション上避けて通れない人物だった。これは、GEとRCAにとっても同様だった。「ついに太陽をとらえた」のような原子力平和利用啓発キャンペーンを打てることに加えて、強力なアメリカ・コネクションを持っていることが、日本側の関係者のあいだで正力が貴重なパイプ役として浮かび上がってきた理由だった。そして、まさしくこれと同じ理由で、アメリカ側も正力を原子炉売り込みの鍵を握る人物と考えていた。

アメリカ、とくにCIAと渡り合いながら、原発の日本への導入を成し遂げ、さらに発行部数一千万部の讀賣新聞と数千万人の視聴者を楽しませる日本テレビをあとに残した正力松太郎。

その存在を賛美することはできないが、かといって否定することもできない。

個々の日本人がどんなに節電に努めたとしても、現段階では、原発なしに日本の全ての電力需要を満たすことはできないだろう。

その意味では、原発、正力、CIAはよく似ている。

CIAなど外国の諜報機関にしても、彼らが「謀略」や心理戦をやめて、外交問題をすべて軍事的手段で解決することにしたら、世界は戦争だらけになるだろう。

現実は理想や建前で動いてはいない。

さらにいえば、政府やスポンサーや圧力団体がメディアにいろいろ働きかけるのは、どこの国でも当たり前のこと。

一国の外交部門や情報機関ともなれば、少しでも自国に有利な世論を作り出すよう対象国のメディアを操作しようと全力を尽すのは当然のこと。

本書では、そのような歴史の表にでない部分について語られている。

ある面、今話題の渡辺恒雄会長も似たような所があるように感じる。

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