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2011年11月26日 (土)

乱世の帝王学/山本七平

20010_146322_m  岩間大蔵左衛門というひどい臆病武者がいた。合戦となると怯えて癪を起こし、目を回してしまうので一度も戦ったことがない。度胸をつけてやろうと考えた信玄は、馬の背に大蔵左衛門をくくりつけ、おおぜいで馬の尻を叩いて敵陣に追いこませたが、馬にも臆病の気が移って、すぐ引き返してくるという始末だ。
  そこで信玄は、彼に家中の隠し目付を命じ、何事によらず気づいたことは秘かに報告せよ、もし隠し置いて露顕することがあれば死罪に行なうぞとたっぷりおどかした。大蔵左衛門は恐れおののいて、家中の万事に注意し、余さず報告したので、おおいに役立ったという。
 信玄は言っている。
「いやしくも晴信、人のつかいようは、人をばつかわず、わざをつかうぞ。また政道いたすも、わざをいたすぞ。あしきわざのなきごとくに、人をつかえばこそ、心ちはよけれ」
 人を使うのではない、能力を使うのだ。それぞれが持っている能力をフルに生かして使ってこそ、心持ちよいという、おどろくほど合理的な人間活用論である。

人を生かすコツは、その人の強い面、優れた面を生かせる場を与えることである。

これを適材適所という。

しかし、実際にこれを実行している企業は非常に少ない。

もちろん、中小企業などは、そもそもそれほど仕事の種類が多くないので、難しい面があるのだが、それも工夫すれば不可能ではない。

日本の組織はどちらかというと弱みに目を向ける傾向がある。

弱点克服型、そして減点主義である。

協調性がなかったり、少しとんがったところがある人材はなかなか出世できない。

先日、立川談志師匠が亡くなったが、日本の組織では、あのような個性的で破天荒な人材はまず出世できない。

結果として、組織の上の階層は、人間的に面白くない人物ばかりということが起こる。

ドラッカーも「弱みでなく強みに目を向けるべき」とその著書の中で語っている。

それを五百年前に実践していた人物がいた。

もっと歴史に学べということではないだろうか。

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