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2011年11月13日 (日)

マネー・ボール/マイケル・ルイス

Bt000013696700100101_tl  他球団はほぼすべて同じような視点で市場を眺めている。20人の指名候補選手をリストアップして、3人つかまえられれば上出来とみなす。ところがアスレチックスは、7人も1位指名できたうえ、ゼネラルマネージャーが選手をまったく独自の物差しで評価する。その物差しが、スカウト陣の豊富な経験より優先される。なにやら1球団だけ別世界だ。結果として、20人の候補者リストのなかからなんと13人も確保できた。投手陣4人に打者9人。自軍のスカウトたちが「背が低すぎ」「やせすぎ」「太りすぎ」「足が遅すぎ」と切り捨てていた選手ばかりだ。速球が走らない投手や、パワー不足の打者。本人がせいぜい15位指名と思っていたような選手を、1位指名する。指名されるはずがないとあきらめていた選手を、2位以降で指名する。本物の野球選手と見込んで獲得していく。
 たとえて言うなら、ウォール街に新しいやり手が現れて、ベジタリアンレストランやら電気自動車の会社やらの株ばかり買い漁るようなものだろう。しかも、事はもっと重大だ。株式市場の動向が上下しても、本質的な価値が直接変化しているわけではない。野球選手市場の再評価は、若者たちの人生そのものにかかわる。アスレチックスのドラフトルームから発せられた探査信号は、まるでレーザービームのように全国を駆けめぐり、いままでいくら成績を上げても注釈つきでしか評価してもらえなかった選手たちを見つけ出す。注釈には、きまってこう書いてある。《この人物はメジャーリーガーに見えないので、ろくな活躍を期待できない》
 ビリー・ビーンは、はからずも“歩く兵器庫”のようなもので、球界の慣習や儀式を破壊していく。

アスレチックスのゼネラルマネージャー、マイケル・ビーンはビル・ジェイムズの著書「野球抄」の唱えるデータ重視の野球に衝撃を受ける。

そして、選手のスカウト活動に利用するようになる。

ビーンは独自の物差しで選手を選んでいく。

選ばれる選手は何れも、「キズモノ」ばかり。

他球団のスカウトたちからは「プロでは使い物にならない」と目にもかけられなかった選手ばかり。

それらの選手をビーンは選び、安い値段で契約を交わしていく。

しかも、面白いことに、他球団のスカウトたちから「使い物にならない」と思われた選手が試合で活躍し、アスレチックスは優勝を争うほどの球団に急成長する。

アスレチックスの年俸トータルはヤンキースの3分の1でしかないのに、成績はほぼ同等。

この不思議な現象はゼネラルマネージャーのビリー・ビーンの革命的な考え方のせいだった。

この実話は、メジャーリーグという世界の話しだが、企業の採用活動にそのまま応用できる。

今は、不況の影響で新卒採用は買手市場だが、このような中にあっても、優秀な人材はいつの時代でも売手市場。

資金や知名度で劣る中小企業は中々採用できない。

しかし、そんな時、ちょっと視点を変えてみてはどうだろうか。

丁度、ビーン氏が独自の物差しで選手を選んで契約し、チームを強くしていったように。

大事なことは、「我が社には資金がない、知名度がない、だからよい人材は集まらない」と思考停止に陥らないことだ。

ちょっと発想を変えればいくらでも道は開けるのだ、ということを本書は教えてくれる。

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